2022年7月ネット句会

今月の投句(夏の戦最終ステージ)

1嫁となり仰ぐオシンコシン滝

2大滝のてつぺんの空ゆがむかな

3五合目のひらけ滝の音きよら

4ビール腹気にする夫と金魚かな

5満腹がわかつておらぬ金魚たち

6滝ひとつ過去の孤独を覚えたり

7こころざし特に無けれど滝仰ぐ

8作り滝ここで一回休みとす

9落つるたび生まれ新たな滝となる

10滝浴びる脇に来たりていま一人

11掬ひ来し三年目なる金魚かな

12枯滝やぽろぽろ零れ行く記憶  

13断崖を吹き上ぐ風や滝枯るる 

14蘭鋳の泳ぐ最上階の夜

15三日だけ誰か金魚を預かって

16ひらひらと金魚の尾鰭鉢の花

17舞う様に咲く様に歌う様に金魚

18滝落ちて言葉をなくし空仰ぐ

19せせらぎの森の精霊滝の音

20滝壺の青さ無音の大宇宙

21泳いでも泳いでも金魚水の檻

22金魚の眼水に溶けゆき鉢の中

23店先の空金魚鉢五円玉

24武家屋敷「金魚」声高に過ぎにけり

25滝壺に飲まる小舟やナイヤガラ

26白水となりて落ちくる瀑布かな

27滝壺へ難題捨てて帰りけり

28ガラス器の中が金魚の小宇宙

29母と子が金魚掬いに袖ぬらし

30遠泳に望み捨てぬや土佐金魚

31白扇のわづかに開き走り滝

32三匹の尾鰭ふれあふ金魚かな

33みどり児の初座りして夕立やむ

34薔薇を切ってオレンジの香に満たされぬ

35野湯浴みや何故に励むか滝の音

36欠伸して強がるポイの金魚かな

37地の底に降り来る滝よ我に入れ

38眼を見張る鉢の金魚や大謀議

39荒滝に抗う岩のまろさかな

40鎮座する猿に箕面の滝しぶき

41遠足の子らの小さき背に瀑布

42浮かぶ藻に遊んでくれろと金魚かな

43どの名でも呼ぶと泡出す金魚かな

44子らと見る遠山の滝那智の滝

45長椅子に飛沫楽しむ滝見茶屋

46神官の袴あをあを滝開き

47見つめれば眼剥き見返す出目金魚

48水換へに応へて金魚ひと泳ぎ

49掬はれて金魚三匹電車乗る

50民宿は蚊帳の匂ひ波の音

51エアキャビン五分の旅路夕焼空

52片陰にままごと遊びワンデイケー

53谷川の涼を連れ添い流れけり

54一礼の鳥居の先は夏祭

55長き名の薔薇に手書きの名札つけ       

56女王も悪魔もありて薔薇の園         

57寝顔秘す大小四つの夏帽子          

58追ひついて二つとなりし夏帽子        

59もの言える国こそ良けれ薔薇の花       

60薔薇散れりひとひらごとの影もまた      

61母の日や「写真の人」となりし母       

62更衣へて一段飛ばしの歩道橋         

63草を抜く手にひらきけり夏の蝶        

64夏帽の改札抜ける海の駅           

65夏帽子つばの先向く水平線          

66発車ベルホーム彩る夏帽子          

67観光のパスが吐き出す夏帽子         

68いつかまた蔓薔薇の家友の家         

69母の日の大輪の花束空におく         

70薔薇の香に途切れ途切れの読書かな      

71家中の窓開け放し衣更            

72咲く家の主は知らず薔薇の道         

73マネキンの肌もあらはに更衣         

74寝つかれぬ旅の枕や明易し          

75短夜じゃ濡れた唇乾かない          

76街の色連れ帰りたりパナマ帽         

77明けやすし住職の打つ寺の鐘         

78能登に泊つランプの宿の明易し        

79立ち止まる人話す人夏帽子          

80母の忌は母の好みし新茶汲む         

81お握りの形いびつに豆の飯          

82短夜や老爺ひとりで目刺し焼く        

83竿さしてパナマ帽行く運河かな        

84若返る色を纏ひし更衣            

85夏帽に飛行機雲の白さかな          

86短夜や机上に積みしままの古書        

87捥ぎ立ての野菜抱えて麦藁帽         

88短夜や沖ゆく船の灯の遅速          

89夏帽子いつか写真のあの町へ         

90短夜や北へ北へと貨車がゆく         

91突堤に釣り糸垂らす麦藁帽          

92オホーツクの鉄路に沿うやすかしゆり     

93薔薇散るや一寸法師の舟となり        

94衣更子のたのもしきふくらはぎ        

95薔薇の花朝日浴び立つ衛士かな        

96薔薇の門くぐり主役の仕草せり        

97ポケットの財布移して衣更          

98更衣あれこれ訊かれ三面鏡          

99薔薇の香や入園券を買う列に         

100白薔薇や佳きひと眠るカセドラル       

  

★ネット句会への投句(5句)& 選句(5句)

https://ae-ne.com/c/haiku/entry/e/JFET4VCymDtxJaSr/

★LINE公式俳句大会発表はこちらから

https://bit.ly/3D8KBpp

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8月の兼題【朝顔】&【】(7月31日〆切

 ★ネット句会への投句(5句)& 選句(5句)

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 【秋の戦8・9・10月】

 ★8月の兼題(7月31日〆切。)

 【朝顔】

朝顔は、夏の花と思いきや秋の訪れを告げる花。夜明けに開いて昼にはしぼみます。昔の人はこの花に秋の訪れを感じてきたようです。奈良時代に薬として遣唐使により日本にもたらされたそうです。

傍題に牽牛花。

 【蜩】

夕方や暁方に鳴く蝉。カナカナと哀調ある声が特徴です。

傍題に日暮し、かなかな、寒蝉。

 

※他に、当季雑詠、自由題でも可ですが季節ごとの勝ち抜き戦であることをご了承下さい。5句投句5句選句です。

  

<先句に学ぶ>

   朝顔へ寝起の貌を近づける

                皆川盤水

   ひぐらしのこゑのつまづく午後三時

                    飯田蛇笏

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  7月号6月の結果(夏の戦第2ステージ)

 ~~<主宰上野貴子選5句>~~

夏帽の改札抜ける海の駅

母の忌は母の好みし新茶汲む

お握りの形いびつに豆の飯

短夜や老爺ひとりで目刺し焼く

夏帽子つばの先向く水平線

  

<点盛りの結果>(夏の戦第2ステージ)

五点句

長き名の薔薇に手書きの名札つけ       原田啓子

四点句

女王も悪魔もありて薔薇の園         井上悦男

三点句

寝顔秘す大小四つの夏帽子          神長誉夫

追ひついて二つとなりし夏帽子        井上悦男

もの言える国こそ良けれ薔薇の花       井上悦男

薔薇散れりひとひらごとの影もまた      神長 誉夫

母の日や「写真の人」となりし母       青山好男

更衣へて一段飛ばしの歩道橋         原田啓子

二点句

草を抜く手にひらきけり夏の蝶        水野幸子

夏帽の改札抜ける海の駅           辻 雅宏

夏帽子つばの先向く水平線          山本佐和子

発車ベルホーム彩る夏帽子          阿部文彦

観光のパスが吐き出す夏帽子         阿部文彦

いつかまた蔓薔薇の家友の家         上野貴子

母の日の大輪の花束空におく         水野幸子

薔薇の香に途切れ途切れの読書かな      原田啓子

家中の窓開け放し衣更            阿部文彦

咲く家の主は知らず薔薇の道         上野貴子

マネキンの肌もあらはに更衣         辻 雅宏

一点句

寝つかれぬ旅の枕や明易し          辻 雅宏

短夜じゃ濡れた唇乾かない          神長 誉夫

街の色連れ帰りたりパナマ帽         青山好男

明けやすし住職の打つ寺の鐘         水野幸子

能登に泊つランプの宿の明易し        辻 雅宏

立ち止まる人話す人夏帽子          原田啓子

母の忌は母の好みし新茶汲む         伊藤はな

お握りの形いびつに豆の飯          伊藤はな

短夜や老爺ひとりで目刺し焼く        井上悦男

竿さしてパナマ帽行く運河かな        原田啓子

若返る色を纏ひし更衣            伊藤はな

夏帽に飛行機雲の白さかな          原田啓子

短夜や机上に積みしままの古書        阿部文彦

捥ぎ立ての野菜抱えて麦藁帽         上野貴子

短夜や沖ゆく船の灯の遅速          井上悦男

夏帽子いつか写真のあの町へ         上野貴子

短夜や北へ北へと貨車がゆく         阿部文彦

突堤に釣り糸垂らす麦藁帽          阿部文彦

オホーツクの鉄路に沿うやすかしゆり     水野幸子

薔薇散るや一寸法師の舟となり        原田啓子

衣更子のたのもしきふくらはぎ        井上悦男

薔薇の花朝日浴び立つ衛士かな        青山好男

薔薇の門くぐり主役の仕草せり        阿部文彦

ポケットの財布移して衣更          阿部文彦

更衣あれこれ訊かれ三面鏡          辻 雅宏

薔薇の香や入園券を買う列に         井上悦男

白薔薇や佳きひと眠るカセドラル       青山好男

  

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 ★ネットテレビ「俳句TV」から毎月点盛りの結果発表https://www.youtube.com/channel/UCxvCKp1aE7_pAWNsjr_czQQ

 

※ネット句会では当季雑詠自由題もしくは、兼題での投句を受け付けております。季感が明らかにずれている俳句の投句はお断りしておりますことご了承下さい。

  

~LINE公式俳句大会6月結果発表~

 <大賞>

 11 山田 純 我もまた小さき鉢の紅金魚

 <2点句>

 1  南出 千賀子 森を抜け水しぶきキラ滝の音

7  橋詰 博   滝しぶき小猿打たれて大はしゃぎ

13 山田 純   滝に出てマイナスイオン全身に

14 山田 純   永劫に尽きる事なく滝の水

16 訓子     音階を繰るごと動く金魚玉

18 道林 正樹  あじさいが待ってましたと雨に笑う

34 大倉 宏美  山の滝しぶきの向こうはパステル画


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※ネット句会ではこのページにてLINE公式俳句大会の結果発表と連動してまいります。

 

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~~~勝ち抜き戦の結果・夏の戦~~~

 長き名の薔薇に手書きの名札つけ・・・五点

 夏の戦では薔薇の句ですが女王の悪魔もアニメのような薔薇園の句を手書きの名札の句が勝ち抜きました。温かみのある文字が浮かぶ優しい句です。この後はものすごい猛暑が続きますが夏の最終戦はどうなるのか楽しみです。

(夏:5月~7月)

 

~~~今月の選評~~~

 夏帽の改札抜ける海の駅

駅の改札口を抜けた先に広がる青い海を思い起こさせる。「夏帽」という言葉が効果的で、涼しげな風を感じさせてくれる。

  

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★8月の兼題(7月末日〆切)

 朝顔】と【

他に、当季雑詠、自由題でも投句可能とし、5句投句5句選句です。

 

※ネット句会では当季雑詠自由題もしくは、兼題での投句を受け付けております。季感が明らかにずれている俳句の投句は季節ごとの勝ち抜き戦のためお断りしておりますことご了承下さい。

 

 

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【今月のワンポイントレッスン】

 

「や」「かな」「けり」の切れ字についてこのコーナーでは「奥の細道」に視点を当て勉強してきました。今回は芭蕉が詠んだ夏の名句を見てみましょう。

 

夏草や兵どもが夢の跡・・・芭蕉

 

この句は平泉の抄の句です。藤原三代の栄華の儚さを詠んでいます。芭蕉の好きな切れ字「や」がしみじみとした感慨を生み出し歴史の重さを感じますね。勿論、名句ですから、この「や」は効果的です。「夢の跡」という栄枯盛衰の刹那を上手くまとめています。

同じ平泉の抄に

 

五月雨の降のこしてや光堂・・・芭蕉

 

この句が収録されており、夏の長雨の頃の厳しい旅が伺えます。長い月日は千年の時を越えて芭蕉に語り掛けているようです。この句にもやはり「や」が使われています。現代まで保存され残されている光堂ですが、芭蕉の時代では、雨風をしのいで残されていることが心を打つ何よりの刹那だったと読み取れます。

こうして名句を鑑賞していると、歴史の移り変わりが嘘のように、現代の私たちの心に響いてくる句ばかりです。切れ字のあるなしを芭蕉本人のことさら強く言い伝えてはいないようですが、奥の細道を見ても、芭蕉は切れ字としては「や」が一番好きなようです。野点の席で烏帽子姿の平安の貴族たちが短冊に和歌を詠んでいる光景が切れ字「や」から浮かんできます。きっと芭蕉も同じように和歌や連歌から俳句を独立した文芸として高めることを常に理想として考えていたからなのかも知れませんね。

 

「俳句TV」ミニ講座下記より

★過去番組ページはこちら 

 https://nbsacademy.jimdofree.com/

 

 

【ネット句会後記】

 

夏の戦第二ステージが終了しましたが、薔薇を詠んだ二句が高位置をキープしています。最終ステージの展開が楽しみです。そして、投句は秋の第一ステージです。

投句されましたら是非、選句もお願いします。今年は梅雨明けが早く、猛暑が続いています。また、台風もこれからです。しっかり対策をしたいものです。

(令和四年七月 辻 雅宏)

 

★ネット句会への投句(5句)& 選句(5句)

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