今月の投句(夏の戦第2ステージ)
1五月雨を眺る猫の背や哀し
2風薫る母子うとうと肌着揺れ
3在りし日の面影探す新緑寺
4あかあおみどりの下駄一列や夏館
5隣卓は三回転目五月雨るる
6蒸気立つ工事現場や五月雨
7新樹晴れ川崎宿の芭蕉の碑
8天に星地に酢漿のありにけり
9五月雨にひねもす烟り法隆寺
10五月雨に濡るるてるてるばうずかな
11五月雨のいつやむとなく墨田川
12五月雨やオランダ坂の石畳
13赴任地の駅前通りさみだるる
14五月雨や龍と目が合ふ天井画
15五月雨やいまだ客無き古本屋
16五月雨や茶房の時はゆるやかに
17五月雨や散歩の犬に合羽着せ
18五月雨や速度増したる舟下り
19古文書を開けば紙魚の食みこぼし
20紙魚走る国語辞典の裏表紙
21いにしえの手帳に走る紙魚の跡
22宿の窓開けて目にしむ新樹光
23免許証返上すれば五月雨るる
24五月雨や豆ふっくりと芽をかかぐ
25新緑の道産子のひづめ響かせて
26ダリヤ植え退院の日を思いをり
27五月雨やきゅうりの苗を植え直す
28道産子の十勝野を引く麦の秋
29湧き水に命与えて新樹光
30五月雨や歩道流るる傘の花
31新樹光産院の灯の消えし朝
32五月雨を拒む渇きしビルの森
33墓標なる新樹の光宙に満つ
34雨粒の柔らかきこと皐月雨
35幼子の背をすっぽりと新樹蔭
36店先に傘並ぶ日や五月雨るる
37韓ドラを観る夜や紙魚の走る夜
38五月雨にステッキ傘の紳士かな
39村と村つなぐ吊り橋新樹光
40雨上がり新樹まぶしき建長寺
41夫眠り書斎に紙魚の走る音
42新樹風抜くる谷中の築地塀
43峡谷のトロッコ列車新樹風
44熊野古道翳りの中の新樹かな
45定まらぬ嬰の眼や新樹光
46徒歩き新樹にもらふ生気かな
47目鼻さえ区別なき地蔵新樹光
48ヒロインの涙を齧り紙魚きらり
49五月雨やしんがりを行くランドセル
50五月雨に句点打つよな赤き傘
51木洩れ日に緑いやます新樹かな
52道産子の葦毛三つ編み緑さす
53爆弾のやうなおむすび新樹光
545バーツの籠いっぱいのバナナかな
55銀輪をつらね少年新樹風
★ネット句会への投句(5句)& 選句(5句)
https://ae-ne.com/c/haiku/entry/e/JFET4VCymDtxJaSr/
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夏の戦の兼題(5月から7月を通して毎月詠んでください。)
【新樹】【五月雨】【紙魚(しみ)】
★ネット句会への投句(5句)& 選句(5句)
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【夏の戦5・6・7月】
★7月におすすめの兼題(6月末日〆切。)
【新樹】
若葉におおわれる初夏の木立をいう。みずみずしい新樹に包まれる山や野には生命力がみなぎる。
傍題に、緑樹、新樹光、新樹蔭。
※他に、当季雑詠でも可ですが、季節ごとの勝ち抜き戦であることをご了承下さい。5句投句5句選句です。
<先句に学ぶ>
大風にはげしくにほふ新樹かな 日野草城
五月雨や大河を前に家二軒 与謝蕪村
鴎外も茂吉も紙魚に食はれけり 藤田湘子
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令和6年6月号5月の結果(夏の戦第1ステージ)
~~<辻 雅宏選5句>~~
麻酔より覚めて窓辺に山笑う
蜜蜂の仕事疲れて戻る箱
春の海会えること無き人想う
道真を偲びて開く梅の花
通勤のひとあしお先春コート
点盛りの結果
三点句
村と村つなぐ吊り橋新樹光 辻 雅宏
二点句
雨上がり新樹まぶしき建長寺 阿部文彦
夫眠り書斎に紙魚の走る音 原田啓子
新樹風抜くる谷中の築地塀 龍野ひろし
峡谷のトロッコ列車新樹風 辻 雅宏
熊野古道翳りの中の新樹かな 辻 雅宏
一点句
定まらぬ嬰の眼や新樹光 原田啓子
徒歩き新樹にもらふ生気かな 辻 雅宏
目鼻さえ区別なき地蔵新樹光 青山好男
ヒロインの涙を齧り紙魚きらり 神長誉夫
五月雨やしんがりを行くランドセル 阿部文彦
五月雨に句点打つよな赤き傘 神長誉夫
木洩れ日に緑いやます新樹かな 辻 雅宏
道産子の葦毛三つ編み緑さす 水野幸子
爆弾のやうなおむすび新樹光 植木 彩由
5バーツの籠いっぱいのバナナかな 植木 彩由
銀輪をつらね少年新樹風 龍野ひろし
★ネット句会への投句(5句)& 選句(5句)
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★ネットテレビ「俳句TV」から毎月点盛りの結果発表https://www.youtube.com/channel/UCxvCKp1aE7_pAWNsjr_czQQ
※ネット句会では当季雑詠もしくは、兼題での投句を受け付けております。季感が明らかにずれている俳句の投句はお断りしておりますことご了承下さい。
~~~勝ち抜き戦の結果・夏の戦~~~
村と村つなぐ吊り橋新樹光・・・3点
村と村の境の川にかかる吊り橋が美しい句ですね。自然と闘いながら人のつながりを大切にしてきた地元の人の心が伝わる素敵な句です。今年も長い夏の始まりですね!
(夏:5月~7月)
~~~今月の選評~~~
村と村つなぐ吊り橋新樹光
旅俳句でしょうか。初夏のみずみずしい樹々に囲まれた峡谷に架けられた吊り橋。時に厳しい自然環境の中で生活を支える吊り橋の最も美しい季節。
★ネット句会への投句(5句)& 選句(5句)
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★6月の兼題(5月末日〆切)
【新樹】【五月雨】【紙魚】
※ネット句会では、兼題での投句、もしくは当季雑詠を受け付けておりますが、季感が明らかにずれている俳句の投句は季節ごとの勝ち抜き戦のためお断りしておりますことご了承下さい。
★オンライン句会
毎月のお題にこだわらない自由な俳句を募集しております。気軽にご参加ください。
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【今月のワンポイントレッスン】
今月はお休み
今回から新しいテーマでこのコーナーの考察を続けて行きたいと思います。
これまで「や」「かな」「けり」の切れ字について芭蕉の「奥の細道」に視点を当て考えてきました。今回からは、そうした手法的な考察ではなく、全体の歴史を見てゆこうと思います。芭蕉が俳諧の発句として、俳句を一句に独立させて、江戸前期に全国に広めました。
古池や蛙飛び込む水の音・・・芭蕉
この句が、芭蕉の俳句の大元と成る開眼の一句だと言われています。句意は「蛙が飛び込む水の音が響きわたっています。何と静かな古い池であろう。」季語は「蛙」春となります。
貞享3年1686年芭蕉43才の句です。蛙を句材に平凡な事柄に風情を見出すことにより、和歌や連歌、またそれまでの俳諧の型にはまった情趣から一線を画したものであるとされ、この句が芭蕉開眼の名句と云われています。この後46才で「奥の細道」の旅にでて、多くの名句を生み出しています。
閑さや岩にしみ入る蝉の声・・・芭蕉
この句も「蝉」という平凡な事柄を詠んでいますが「閑さ」という情趣が禅の精神である侘び寂びにも通じる深い感慨をもたらしています。
芭蕉はこうして江戸前期にこれまでの俳諧の世界を発句という一句独立した文学として高めていったのです。そして、1694年元禄7年51歳で江戸を発ち伊賀上野へ向かう途中に大阪で倒れ病状悪化の為に死去しています。蕉風と呼ばれる芸術性の極めて高い句風を確立し、後世では俳聖として世界的にも知られる、日本史上最高の俳諧師の一人と現在でも云われています。
(会報令和六年四月号より 上野貴子)
「俳句TV」ミニ講座下記より
★過去番組ページはこちら
https://nbsacademy.jimdofree.com/
【ネット句会後記】
夏の戦第一ステージは、独走した句はなく接戦の様相でした。第2ステージでの展開が楽しみです。投句された句に是非、コメントをお願いします。投句者にも励みになります。ご協力をお願いします。(令和六年六月 辻 雅宏)
★ネット句会への投句(5句)& 選句(5句)
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~LINE公式俳句大会5月結果発表~
<大賞>
3 米重 初枝 薫風も民謡も乗せ最上川
<2点句>
27 山本 佐和子 五月雨の打つ由緒ある木造屋
39 大西 文子 テラス席吾子と取り合うかき氷
31 大西 文子 手を合わすお地蔵様の顔に蜂
この他の結果はLINEよりご覧ください。
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※ネット句会ではこのページにてLINE公式俳句大会の結果発表と連動してまいります。
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