2022年11月ネット句会

今月の投句(冬の戦第1ステージ)

 

1沈黙に拾ふ言葉や初時雨

2初時雨能登行商の頬を打つ

3花街の町家格子や初時雨

4階段の軋む茶房や初時雨

5初時雨灯りのつかぬ老舗宿

6そして皆大人になりぬ一葉忌

7ワクチンに少し熱帯び初時雨

8読書せる窓辺の外は初時雨

9しぐるるや芭蕉は旅をしてゐたり

10俳人の信仰帰依や初時雨

11女性史の初めの一歩一葉忌

12朝売りのコンビニ駆け込む初時雨

13改札に人影の増え初時雨

14初時雨夕べの土の匂い呼ぶ

15短くも長くも一生一葉忌

16初時雨お堀端行く相合傘

17灯が一つ暮れなずむ街一葉忌

18五千円一人飲む酒一葉忌

19初時雨子犬があそぶ泥の中

20亡き人を尋ぬ山道初時雨

21初時雨駅の置き傘借りにけり

22野良猫の小走りになる初時雨

23対岸の陽射し伸びるや初時雨

24陸前は父母のふる里一葉忌

25小雨降るシャッター街や一葉忌

26嬰のハイハイ横へ横へと初時雨

27路地裏の声甲高かき一葉忌

28冬暖か娘はマネキュアを塗りくるる

29小春日や吾とインコはダイエット

30初雪や歓びあふるる分娩室

31初時雨煉瓦校舎に灯が一つ

32訃を告げし受話器の向こう初時雨

33濁水に作り花散る一葉忌

34初時雨天地返しの田が笑い

35吉凶のくじに等しく初時雨

36お遍路の杖音急ぐ初時雨

37初時雨先客の居る木暮かな 

38家族皆一つ傘にて初時雨

39日本語の美しきかな一葉忌

40読みかけのたけくらべ手に一葉忌

41初時雨産寧坂を濡るるほど

42暮れかかる三茶界隈初しぐれ

43てのひらにふたつぶみつぶはつしぐれ

44千円札残しておかむ一葉忌

45着物裁つ祖母のゐさうな一葉忌

  

★ネット句会への投句(5句)& 選句(5句)

https://ae-ne.com/c/haiku/entry/e/JFET4VCymDtxJaSr/

 LINE公式俳句大会発表はこちらから

https://bit.ly/3D8KBpp

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 12月の兼題【着ぶくれ】&【義士の日】(11月末日〆切)

【着ぶくれ】

寒いので何枚も重ねて着たため身体がふくれてみえること。

【義士の日】

十二月十四日 赤穂浪士が討ち入りした快挙をたたえ偲ぶ会がこの日に催されてきた。傍題に義士会 義士討ち入りの日。
義士祭は春の季語として別の季題になります。

 ※他に、当季雑詠、自由題でも可ですが季節ごとの勝ち抜き戦であることをご了承下さい。5句投句5句選句です。

 

<先句に学ぶ> 

  着膨れて海豹(アザラシ)の貎してゐたる 

                  長谷川 櫂

   義士の日やスーパーに買ふ赤穂塩

                          添野光子

 

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 11月号10月の結果(秋の戦)

 ~~<主宰上野貴子選5句>~~

 捨案山子日本手拭ひ首に巻き

雁の声を残して暮れなずむ

穂の波を案山子の影がまた越えて

秋晴の飛鳥斑鳩気まま旅

菊日和千代田区千代田一番地

 

 <点盛りの結果>(秋の戦最終ステージ)

 

 六点句

どの人の手にも朝顔入谷駅          辻 雅宏

 

五点句 

一歩ずつ夜のふけゆくや風の盆        原田啓子

秋高し嬰の手足のよく動く          水野幸子

 

四点句

朝顔や町家二階の物干場           龍野ひろし

 

三点句

村人の数より多き案山子かな         井上悦男

かたぶいてへのへの揺れる案山子かな     原田啓子

穂の波を案山子の影がまた越えて       神長誉夫

手を返す指うつくしき風の盆         辻 雅宏

朝顔や生まれる前の夢の色          山本佐和子

蜩やハッカの香る湯を借りて         神長誉夫

山小屋を発つ朝露に靴濡らし         龍野博史

蜩や遊び疲れし子の帰る           龍野ひろし

ひぐらしやその日暮らしがまた終はり     辻 雅宏

 

二点句

秋晴や駆けだしさうにならぶ靴        井上悦男

おまえもかお役御免に捨案山子        辻 雅宏

秋晴や犬のリードを長くして         龍野ひろし

モンローの案山子雀を引寄せて        龍野ひろし

風の盆霊にしたがひ列をなす         山本佐和子

朝露や山の空気の透きとほる         龍野博史

弓震ふ夜の深さや風の盆           神長誉夫

山峡のひとりの宿り窓の露          青山好男

俳聖の歩きし道や露置ける          青山好男

牧舎みなまだ起きやらぬ露の朝        井上悦男

露けしや敷かれしままの廃線路        辻 雅宏

漁終えし背にかなかなの打ち寄せて      神長誉夫

越境も楽し隣の牽牛花            井上悦男

蜩や手拭い解く豆剣士            神長誉夫

朝顔や藍一滴を拡げたり           青山好男

蜩や早き夕餉の山の宿            龍野ひろし

蜩の音の届きたる夢の中           山本佐和子

 

一点句

秋日和歴女声高し大手門           青山好男

秋晴や軽鴨親子無事川へ           水野幸子

捨て案山子焼けば血色の焔立ち        神長誉夫

坂道や捨つる案山子の重さかな        青山好男

捨案山子日本手拭ひ首に巻き         井上悦男

雁の声を残して暮れなずむ          水野幸子

捨かかし草でぬぐへる鎌二本         井上悦男

秋晴やドロップ缶のからからと        龍野ひろし

秋晴の飛鳥斑鳩気まま旅           辻 雅宏

菊日和千代田区千代田一番地         辻 雅宏

休耕地案山子が納屋で欠伸せり        阿部文彦

向かい合い声を掛け合う案山子かな      原田啓子

秋晴れや戦う白衣高く干し          神長誉夫

鼻の穴広ぐる河馬や秋の晴          龍野ひろし

秋晴やバスに園児の弾む声          阿部文彦

露の世に生まれ消えゆくこの身かな      辻 雅宏

窓開ける入社試験の朝の露          青山好男

踏み台の石は動かず草の露          上野貴子

月一の院内散歩草の露            山本佐和子

かなたより来たり寄り添う露の玉       青山好男

昨日より深き瀬音や風の盆          井上悦男

リング抜く指しなやかに風の盆        神長誉夫

風の盆左右で違ふイヤリング         井上悦男

蜩やそろり海へと変わる風          神長誉夫

蜩や千年なきてなきたらず          青山好男

朝顔や儚きいのち惜しむかに         阿部文彦

夕去ればひぐらし鳴けり宮の森        辻 雅宏

朝顔にレトロ喫茶のある小道         原田啓子

蜩の声もつめ込むスマホかな         阿部文彦

朝顔に見送りされて無人駅          阿部文彦

紺したがへ白朝顔の凛と咲き         辻 雅宏

朝風が起きろ起きろと牽牛花         上野貴子

朝顔の紺の著けきたたみ皺          水野幸子

蜩や姥捨て山の話聞き            井上悦男

蜩やバス来るまでのBGM          辻 雅宏

朝顔の見送り受けて郵便車          青山好男

じゃんけんで負け朝顔の水当番        原田啓子

 

 

★ネット句会への投句(5句)& 選句(5句)

https://ae-ne.com/c/haiku/entry/e/JFET4VCymDtxJaSr/

 ★ネットテレビ「俳句TV」から毎月点盛りの結果発表https://www.youtube.com/channel/UCxvCKp1aE7_pAWNsjr_czQQ

 

※ネット句会では当季雑詠自由題もしくは、兼題での投句を受け付けております。季感が明らかにずれている俳句の投句はお断りしておりますことご了承下さい。

  

~~~勝ち抜き戦の結果・秋の戦~~~

 

どの人の手にも朝顔入谷駅・・・六点

 

とうとう勝ち抜かれてしまいましたね。3度目の秋は

すこしずつ以前の活気が戻り始めていることの現れですね。

次回はもう冬の戦の始まりです。

(冬:11月~1月)

  

~~~今月の選評~~~

 

村人の数より多き案山子かな

 

過疎の村が増えているが、そんな様子を表した句である。

単に村人の数が減っていると言うより案山子を持ち出すことで

大幅な減少をよく語っている。

 

 

★ネット句会への投句(5句)& 選句(5句)

https://ae-ne.com/c/haiku/entry/e/JFET4VCymDtxJaSr/

 

★12月の兼題(11月末日〆切)

 

【着ぶくれ】と【義士の日】

他に、当季雑詠、自由題でも投句可能とし、5句投句5句選句です。

 

※ネット句会では当季雑詠自由題もしくは、兼題での投句を受け付けております。季感が明らかにずれている俳句の投句は季節ごとの勝ち抜き戦のためお断りしておりますことご了承下さい。

  

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 【今月のワンポイントレッスン】

 

「や」「かな」「けり」の切れ字についてこのコーナーでは「奥の細道」に視点を当て勉強してきました。今回は芭蕉の詠んだ月の俳句を見てみましょう。

 

月清し遊行のもてる砂の上・・・芭蕉

 

この句は芭蕉が敦賀で十五夜の前日に詠んだ句です。代表的な切れ字は無い句です。清しは形容詞のク活用の終止形です。形用詞の場合は切れ字18と言われる場合には切れ字とされますが、代表的な3つの切れ字では無いですね。もう1句「奥の細道」の中の句を見てみましょう。

 

 名月や北国日和定なき・・・芭蕉

 

この句は切れ字「や」が効果的な句です。始めの例句の翌日の句で、折角の十五夜様が雨で見れず北国の天候の定まらないことを詠んでいます。芭蕉は「や」を好んで使いますので、ここでも「や」で名月を強く印象的に詠んでいますね。面白いことに、この句の前書きや解説などで調べると、「名月や」と詠んでいるにも関わらず、この日には月が見られなかったのです。見れない月を、「雨月」や「無月」と詠まずに定めなきと下五に書いて、北の空の不安定さを詠んでいるのですね。このような読み方は芭蕉の他には、なかなかできません。まったく見事な表現方法です。

(令和四年十月 上野貴子)

  

「俳句TV」ミニ講座下記より

★過去番組ページはこちら 

https://nbsacademy.jimdofree.com/

  

【ネット句会後記】

 

秋の戦が終了しました。初秋から晩秋まで多くの投句をありがとうございました。

そして、冬の戦の第二ステージです。十二月ならではの兼題を用意させて戴きました。多くの方からの投句をお待ちしています。

(令和四年十一月 辻 雅宏)

  

★ネット句会への投句(5句)& 選句(5句)

https://ae-ne.com/c/haiku/entry/e/JFET4VCymDtxJaSr/

  

LINE公式俳句大会9月結果発表~

 

<大賞>

 5  さこたゆう じいちゃんのお下がり着てる案山子あり

 

2点句>

 1  さこたゆう    秋晴にチェロの音色が溶けていく

11 橋詰 博     秋晴の気分転換ひとり旅

16 南出千賀子  一張羅案山子おめかし、刈る日まで

  

LINE公式俳句大会発表HPはこちらから

https://sites.google.com/view/haikutaikai-ueno3/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0

 

★まずは気軽にこちらからご登録下さい♪

https://lin.ee/UY7VIpw

 

※ネット句会ではこのページにてLINE公式俳句大会の結果発表と連動してまいります。