今月の投句(春の戦第1ステージ)
1フリースに包まれ眠る春の風邪
2春めくや老若集うカフェテラス
3春の風邪慢性病も身の内に
4夜の時間やたらと伸びる春の風邪
5レトルトの匂いの粥と春の風邪
6オリオンに向ひ帰宅や春めきて
7餌ねだる猫の鳴き声春めけり
8日当たりの斜めの庭も春めけり
9春の風邪誰も出ぬまま電話鳴る
10春めくやひとりの席に椅子を寄せ
11軽やかに発車のチャイム春めけり
12光さす千体仏や春めけり
13鍵盤に弾む指先春めけり
14春めくやひかり膨らむ堰の水
15妻からのメールにハート春めける
16硝子越し春めくキッチンポット沸く
17上着脱ぎ油断がアダの春の風邪
18目覚めても布団出られず春の風邪
19しののめの鴉の親子春はじめ
20まだぬけずマスクでクシャミ春の風邪
21春めいて草刈られゆく空の堀
22春めきて隣家の灯り眩しけり
23春めきて農婦畑立ち鳥の啼く
24春風邪や花瓶に残る水窓辺
25春風邪や窓から見る山遠し
26春めくや浜辺に人の影あまた
27春めきて薩摩切子を二つ買う
28春めくや旅のプランを練り直す
29コロナ禍と見紛うほどに春の風邪
30酒二合飲んで寝に入る春の風邪
31嬰のくしゃみ春の風邪飛び散りばめり
32障子戸の春めく光部屋に満つ
33サクサクと雪かく音のうまれけり
34春めきて鼻歌漏るる海女の小屋
35春めきてシェフの帽子も背を伸ばし
36春の風邪汽笛掠れしA列車
37春めきてろくろの土の良く喋る
38春めきてそろそろ嘘の懺悔時
39調弦の軽く揃いて春めきぬ
40ピンと立つ猫のしっぽや春めきぬ
41遠山の丸く見える日春めきぬ
42大っぴらに言えぬ辛さや春の風邪
43一人寝の夜のいつまでも春の風邪
44春めくや浅瀬に遊ぶ鷺一羽
45小魚の跳ぬる波紋や春めきぬ
46社会的距離を忘れて春の風邪
47君のならくれてもいいよ春の風邪
48くちづけのあとでもらひぬ春の風邪
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3月の兼題【陽炎】&【鳥帰る】(2月末日〆切)
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【春の戦2・3・4月】
★3月の兼題(2月末日〆切。)
【陽炎】
あたたかく晴れた日に、地上から水蒸気が蒸発して、ゆらゆらと炎のように立ち昇る現象をいう。
傍題に、糸遊、かぎろひ、陽炎へる。
【春の風邪】
秋に日本に渡来し越冬した渡り鳥は、春になると北方の繁殖地に帰っていく。
傍題に、鳥雲に、鳥雲に入る。
※他に、当季雑詠、自由題でも可ですが季節ごとの勝ち抜き戦であることをご了承下さい。5句投句5句選句です。
<先句に学ぶ>
かげろふの中へ押し行く乳母車
轡田 進
鳥帰るいづこの空もさびしからむに
安住 敦
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令和5年2月号1月の結果(冬の戦最終ステージ)
~~<主宰上野貴子選5句>~~
信仰無し何は無くとも初詣
風花のたちまち消ゆる手のひらに
初詣高台よりの海蒼し
風花や母の手書きの文一つ
初詣晴れ着姿のまばらなる
五点句
群れ烏そろり飛び立つ討ち入り日 神長誉夫
四点句
風花や母の手書きの文一つ 原田啓子
外人の肩一つ出て初詣 原田啓子
地にとどくまで風花の調べかな 原田啓子
そして皆大人になりぬ一葉忌 山本佐和子
初時雨能登行商の頬を打つ 龍野ひろし
三点句
海見ゆる土俵に子らの初相撲 水野幸子
猫の髭風花捕え反り返る 神長誉夫
風花を追ふ子掴む子口開く子 辻 雅宏
着ぶくれて見る月食の終るまで 龍野ひろし
着ぶくれし夜釣りの背中並びけり 龍野ひろし
義士の日や映画の後のしるこかな 青山好男
着ぶくれを吐き出すバスのターミナル 辻 雅宏
二点句
巾着に仕舞ふ吉札初詣 龍野ひろし
おくるみの嬰(やや)に風花ふうわりと 辻 雅宏
信仰無し何は無くとも初詣 山本佐和子
二拍めに揃ふ柏手初詣 井上悦男
珈琲の戸の外に風花ゆたり 山本佐和子
風花や奥の院への二百段 龍野ひろし
義士の日を知らないと言う忠義(ただよし)君 田中伸明
着膨れて歯のない嬰の破顔かな 水野幸子
義士の日や雪に昏れゆく南部坂 辻 雅宏
義士の日や雨も冷たき泉岳寺 青山好男
陸前は父母のふる里一葉忌 阿部文彦
読書せる窓辺の外は初時雨 山本佐和子
てのひらにふたつぶみつぶはつしぐれ 辻 雅宏
階段の軋む茶房や初時雨 龍野ひろし
改札に人影の増え初時雨 上野貴子
初時雨駅の置き傘借りにけり 阿部文彦
初時雨産寧坂を濡るるほど 辻 雅宏
お遍路の杖音急ぐ初時雨 原田啓子
初時雨煉瓦校舎に灯が一つ 神長誉夫
家族皆一つ傘にて初時雨 原田啓子
一点句
風花のたちまち消ゆる手のひらに 龍野ひろし
初詣高台よりの海蒼し 水野幸子
初詣晴れ着姿のまばらなる 辻 雅宏
初詣神籤見せ合ふ若夫婦 辻 雅宏
朝市の並ぶ川沿ひ風花す 辻 雅宏
初詣令和五年を握りしめ 井上悦男
風花や道一列の紅き頬 青山好男
着ぶくれて犬と星空見上げをり 龍野ひろし
パン屑の溜まる胸元着ぶくれて 原田啓子
義士の日や膝の痛みのいや増して 水野幸子
初時雨産寧坂を濡るるほど 辻 雅宏
着ぶくれてお腹から乗るマタニティー 辻 雅宏
季語帳を繕うテープ小六月 水野幸子
「気楽さ」と意地の着ぶくれ独り飯 神長誉夫
着ぶくれてタイムサービス早足に 田中伸明
色コーデする暇もなく着膨れて 原田啓子
義士の日を令和の人が行きすぎる 上野貴子
義士の日や夜を駆けゆく風数ふ 神長誉夫
着ぶくれて南の島の果実剥く 神長誉夫
着ぶくれて旅行バックを引く婦人 上野貴子
義士会や名優達の時を愛で 神長誉夫
女性史の初めの一歩一葉忌 上野貴子
短くも長くも一生一葉忌 上野貴子
初時雨天地返しの田が笑い 神長誉夫
濁水に作り花散る一葉忌 神長誉夫
読みかけのたけくらべ手に一葉忌 原田啓子
野良猫の小走りになる初時雨 阿部文彦
花街の町家格子や初時雨 龍野ひろし
初時雨灯りのつかぬ老舗宿 龍野ひろし
対岸の陽射し伸びるや初時雨 阿部文彦
嬰のハイハイ横へ横へと初時雨 水野幸子
着物裁つ祖母のゐさうな一葉忌 辻 雅宏
初時雨夕べの土の匂い呼ぶ 上野貴子
五千円一人飲む酒一葉忌 青山好男
路地裏の声甲高かき一葉忌 水野幸子
日本語の美しきかな一葉忌 原田啓子
灯が一つ暮れなずむ街一葉忌 青山好男
初時雨先客の居る木暮かな 原田啓子
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※ネット句会では当季雑詠自由題もしくは、兼題での投句を受け付けております。季感が明らかにずれている俳句の投句はお断りしておりますことご了承下さい。
~~~勝ち抜き戦の結果・冬の戦~~~
群れ烏そろり飛び立つ討ち入り日・・・五点句
今回の冬の戦では、敵討ちの句が勝ち残りました。「そろり」という表現が仇討ちのすさまじさや切なさを表現されていて上手い句ですね。あっという間にもう春です。次回はいよいよ春の戦となります。
(冬:11月~1月)
~~~今月の選評~~~
信仰無し何は無くとも初詣
日本人ですね、とにかく元日には家族そろって地元の氏神様へと毎年出かけます。家内安全。家族の健康。世界の平和、小遣いの小銭をもって、何という欲張りなお願いだろうと毎年笑っています。
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★3月の兼題(2月末日〆切)
【陽炎】と【鳥帰る】
他に、当季雑詠、自由題でも投句可能とし、5句投句5句選句です。
※ネット句会では当季雑詠自由題もしくは、兼題での投句を受け付けております。季感が明らかにずれている俳句の投句は季節ごとの勝ち抜き戦のためお断りしておりますことご了承下さい。
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【今月のワンポイントレッスン】
「や」「かな」「けり」の切れ字についてこのコーナーでは「奥の細道」に視点を当ててきましたが今回は芭蕉の詠んだ梅の句を見てみましょう。
梅が香に昔の一字あはれなり・・・芭蕉
「奥の細道」は弥生三月二十七日に出発しているので桜の美しい季節ですが、梅の句はまだ無いのです。そこで、芭蕉51才の句を例句に上げてみました。46才で奥の細道の旅に出かけた後の句です。門人梅丸の息子の一周忌に向けた句で「昔」の一文字が浮かび哀しいという句ですね。この句には「梅が香に昔を問へば春の月答へぬ影ぞ袖にうつれる」という藤原家隆の歌が根底にあると言われています。「昔」を訪ねても月は答えてくれないという切ない歌の「昔」のひと文字に掛けているのでしょう。「初昔」の季語を思い出しますが、お目出度い梅春だけに切なさが込められた名句です。
梅一輪一輪ほどの暖かさ・・・嵐雪
この句は芭蕉の弟子の服部嵐雪の名句ですね。梅と言えばこの句が有名です。リフレインの畳語が一輪を強調させています。切れ字を使わずにたった一輪だけだというのにという感嘆の意味も伝わります。現代でも古びた感じが全くしない名句として語り継がれています。切れ字「けり」をあまり使わない蕉門の弟子らしい雅な名句ですね。次回はいよいよ芭蕉「奥の細道」へと出発の頃となります。
(令和五年二月 上野貴子)
「俳句TV」ミニ講座下記より
★過去番組ページはこちら
https://nbsacademy.jimdofree.com/
【ネット句会後記】
冬の戦の決着がつきました。討ち入りの日が5点句になりました。4点句が5句並び、しかも3句が一度に登場でした。伯仲する句が目白押しで楽しみな句会になってきました。令和5年の春の戦の始まりです。選句と投句をよろしくお願いします。
多くのご参加をお待ちしています。
(令和五年二月 辻 雅宏)
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~LINE公式俳句大会12月結果発表~
<大賞>
16 橋詰 博 夜行列車風花連れて故郷へ
<2点句>
20 奥平 雅子 グラタンの焦げる香のたつ初時雨
27 濱野 洋子 晩酌は二合に決めて掘り炬燵
30 鈴木 恵美子 枝枝に小手毬に似た寒雀
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