今月の投句(秋の戦第1ステージ)
1朝顔に日本の花か問うてみる
2蜩の音の届きたる夢の中
3朝顔や生まれる前の夢の色
4蜩や我の故郷はここにあり
5日の蔭り蜩止みてしんとなる
6どの人の手にも朝顔入谷駅
7紺したがへ白朝顔の凛と咲き
8夕去ればひぐらし鳴けり宮の森
9蜩やバス来るまでのBGM
10ひぐらしやその日暮らしがまた終はり
11蜩や早き夕餉の山の宿
12蜩や遊び疲れし子の帰る
13蜩や共鳴したる森の神
14朝顔や町家二階の物干場
15朝顔や団十郎の中野もありて
16朝顔にレトロ喫茶のある小道
17朝顔がしぼむ惜しげもなく午後に
18じゃんけんで負け朝顔の水当番
19かなかなを聴きに行きたし海越えて
20蜩にふっと目をやる暦かな
21朝顔を覗いてる風の囁き
22朝空が藍より青く花朝顔
23朝風が起きろ起きろと牽牛花
24かなかなの追えば夕陽は山の雲
25蜩に見守られてる夕支度
26蜩やハッカの香る湯を借りて
27漁終えし背にかなかなの打ち寄せて
28朝顔の濡れた産毛や夜は溶け
29蜩や手拭い解く豆剣士
30蜩やそろり海へと変わる風
31朝顔や藍一滴を拡げたり
32朝顔の見送り受けて郵便車
33起きて見る朝顔の蔓おびただし
34蜩や千年なきてなきたらず
35朝顔の紺の著けきたたみ皺
36ひとしきりカナカナのカでとぎれけり
37秋光や蝶は草刈る手をよけて
38秋高し嬰の手足のよく動く
39夕風に宍道湖の鰡とびにけり
40朝顔や儚きいのち惜しむかに
41朝顔に見送りされて無人駅
42夜明けなる古書をめくれば法師蝉
43蜩や鎮守の杜に鳴き暮るる
44蜩の声もつめ込むスマホかな
45蜩や姥捨て山の話聞き
46朝顔や鎖骨にひとつある黒子
47越境も楽し隣の牽牛花
48かなかなや指笛巧みに吹く少女
49かなかなや第三埠頭に巨き船
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9月の兼題【風の盆】&【露】(8月31日〆切)
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【秋の戦8・9・10月】
★9月の兼題(8月31日〆切。)
【風の盆】
富山県八尾町で九月一日から三日まで行われる盆の行事。
【露】
空気中の水蒸気が夜の間に冷えて水となり、草や木についたりする。夜間の冷え込みの強い秋に多い。
傍題に、白露、露の玉、朝露、夜露、露けし、露の世。
※他に、当季雑詠、自由題でも可ですが季節ごとの勝ち抜き戦であることをご了承下さい。5句投句5句選句です。
<先句に学ぶ>
踊りの手ひらひら進み風の盆
福田蓼汀
金剛の露ひとつぶや石の上
川端茅舎
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8月号7月の結果(夏の戦最終ステージ)
~~<主宰上野貴子選5句>~~
ビール腹気にする夫と金魚かな
落つるたび生まれ新たな滝となる
寝顔秘す大小四つの夏帽子
民宿は蚊帳の匂ひ波の音
能登に泊つランプの宿の明易し
<点盛りの結果>(夏の戦最終ステージ)
五点句
長き名の薔薇に手書きの名札つけ 原田啓子
女王も悪魔もありて薔薇の園 井上悦男
寝顔秘す大小四つの夏帽子 神長誉夫
四点句
掬はれて金魚三匹電車乗る 辻 雅宏
追ひついて二つとなりし夏帽子 井上悦男
薔薇散れりひとひらごとの影もまた 神長 誉夫
三点句
蘭鋳の泳ぐ最上階の夜 井上悦男
神官の袴あをあを滝開き 辻 雅宏
一礼の鳥居の先は夏祭 能天気
もの言える国こそ良けれ薔薇の花 井上悦男
母の日や「写真の人」となりし母 青山好男
更衣へて一段飛ばしの歩道橋 原田啓子
夏帽の改札抜ける海の駅 辻 雅宏
夏帽子つばの先向く水平線 山本佐和子
二点句
どの名でも呼ぶと泡出す金魚かな 原田啓子
白扇のわづかに開き走り滝 水野幸子
遠足の子らの小さき背に瀑布 原田啓子
落つるたび生まれ新たな滝となる 山本佐和子
鎮座する猿に箕面の滝しぶき 原田啓子
草を抜く手にひらきけり夏の蝶 水野幸子
発車ベルホーム彩る夏帽子 阿部文彦
観光のパスが吐き出す夏帽子 阿部文彦
いつかまた蔓薔薇の家友の家 上野貴子
母の日の大輪の花束空におく 水野幸子
薔薇の香に途切れ途切れの読書かな 原田啓子
家中の窓開け放し衣更 阿部文彦
咲く家の主は知らず薔薇の道 上野貴子
マネキンの肌もあらはに更衣 辻 雅宏
能登に泊つランプの宿の明易し 辻 雅宏
捥ぎ立ての野菜抱えて麦藁帽 上野貴子
夏帽子いつか写真のあの町へ 上野貴子
一点句
舞う様に咲く様に歌う様に金魚 上野貴子
片陰にままごと遊びワンデイケー 能天気
荒滝に抗う岩のまろさかな 神長 誉夫
滝壺の青さ無音の大宇宙 上野貴子
ビール腹気にする夫と金魚かな 小川 泉
民宿は蚊帳の匂ひ波の音 能天気
大滝のてつぺんの空ゆがむかな 小川 泉
野湯浴みや何故に励むか滝の音 神長 誉夫
三日だけ誰か金魚を預かって 井上悦男
長椅子に飛沫楽しむ滝見茶屋 辻 雅宏
水換へに応へて金魚ひと泳ぎ 辻 雅宏
ガラス器の中が金魚の小宇宙 阿部文彦
寝つかれぬ旅の枕や明易し 辻 雅宏
短夜じゃ濡れた唇乾かない 神長 誉夫
街の色連れ帰りたりパナマ帽 青山好男
明けやすし住職の打つ寺の鐘 水野幸子
立ち止まる人話す人夏帽子 原田啓子
母の忌は母の好みし新茶汲む 伊藤はな
お握りの形いびつに豆の飯 伊藤はな
短夜や老爺ひとりで目刺し焼く 井上悦男
竿さしてパナマ帽行く運河かな 原田啓子
若返る色を纏ひし更衣 伊藤はな
夏帽に飛行機雲の白さかな 原田啓子
短夜や机上に積みしままの古書 阿部文彦
短夜や沖ゆく船の灯の遅速 井上悦男
短夜や北へ北へと貨車がゆく 阿部文彦
突堤に釣り糸垂らす麦藁帽 阿部文彦
オホーツクの鉄路に沿うやすかしゆり 水野幸子
薔薇散るや一寸法師の舟となり 原田啓子
衣更子のたのもしきふくらはぎ 井上悦男
薔薇の花朝日浴び立つ衛士かな 青山好男
薔薇の門くぐり主役の仕草せり 阿部文彦
ポケットの財布移して衣更 阿部文彦
更衣あれこれ訊かれ三面鏡 辻 雅宏
薔薇の香や入園券を買う列に 井上悦男
白薔薇や佳きひと眠るカセドラル 青山好男
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<大賞>
6 さこたゆう 宿題はあさがおの観察と絵日記
<2点句>
10 さこたゆう ひぐらしと母が呼んでる「ごはんだよ」
33 橋詰 博 一斉に笑ふ向日葵村起こし
39 大倉 宏美 虫食いの青葉に思う命あり
54 鈴木 恵美子 朝顔や上へ上へと巻きたがる
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~~~勝ち抜き戦の結果・夏の戦~~~
長き名の薔薇に手書きの名札つけ・・・五点
女王も悪魔もありて薔薇の園・・・五点
夏の戦は薔薇の句が逃げ切りました。女王も悪魔もアニメのような薔薇園に手書きの名札の句が勝ち残りました。長い猛暑が続きますが早くも暦の上では秋の戦ですね。
(夏:5月~7月)
~~~今月の選評~~~
掬はれて金魚三匹電車乗る
祭りの夜店で掬った金魚でしょうね、ビニールの袋を持って
うれしそうなお子様の姿も見えてとても楽しく
ほほえましい家族の姿もみえます。
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★9月の兼題(8月末日〆切)
【風の盆】と【露】
他に、当季雑詠、自由題でも投句可能とし、5句投句5句選句です。
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【今月のワンポイントレッスン】
「や」「かな」「けり」の切れ字についてこのコーナーでは「奥の細道」に視点を当て勉強してきました。今回は芭蕉が詠んだ8月の頃の名句を見てみましょう。
荒海や佐渡によこたふ天河・・・芭蕉
この句は天河の句で秋の句です。八月は旧暦では秋となり、現代の暦でも八月になるとすぐに立秋が過ぎやはり暦の上では秋となります。初秋の空には星が美しいとされていて天の川もよく見えます。この句は新潟から佐渡を眺めて詠んだものですね。「や」が使われています。日本海の海の厳しさを強調されているのです。海と空の対比が広大な宇宙観を感じさせて自然の美しさが際立ちます。
秋涼し手毎にむけや瓜茄子・・・芭蕉
この句は「秋涼し」から始まりますから勿論秋の句ですね。「涼し」だけでは夏の季語ですが「秋」を付けて「瓜」や「茄子」の野菜を詠んでいます。季語としては季感のズレが生じてあまり整ってはいない句です。夏の句の様にも感じますが、そこを「秋」として、初秋を詠んでいるのです。夏野菜が熟して剝きやすいのかも知れませんね。
この句は資料では金沢での句ですので、茄子の品種が水ナスで、瑞々しいので剥きやすいのかも知れません。
「や」が中七にあり、切れ字の使い方では難しいと言われています。「や」は上五中七下五のどこにでも使える便利な切れ字です。芭蕉は切れ字としては「や」が一番好きなようで、ここでは珍しく中七に使っています。どこか無理に整えた感がありますが金沢での宴の作と読みとれますね。
「俳句TV」ミニ講座下記より
★過去番組ページはこちら
https://nbsacademy.jimdofree.com/
【ネット句会後記】
夏の戦は薔薇の二句が五点句で並び終わりました。秋の戦が始まっています。第2ステージの兼題は、風の盆と露とさせていただきました。哀調漂う風の盆とどこか儚さを感じる露を詠んでください。残暑が続きそうです。夏バテしないで秋を迎えましょう。
(令和四年八月 辻 雅宏)
★ネット句会への投句(5句)& 選句(5句)