2022年2月ネット句会

今月の投句(2月8日更新・春の戦)

1友禅を透かし雪どけ水ながる
2下り落つ雪解けの水岩削る
3雪解河わたる客車に人は無く
4雪解川所々に鄙びた草浸る
5雪解けの道の一本知己の家へ
6えきったサンドイッチの余寒かな
7居座りて木の芽を制す余寒かな
8雪解川往くに存分なる日差し
9遠目にも明るき伊吹雪解晴
10霊山の嶺より落つる雪解水
11余寒なほ体育館の保護者会
12寸借の厠に残る寒さかな
13ミサを待つ日曜朝の余寒かな
14夫のゐぬ家路も遠く余寒かな
15枕木を数えてわたる雪解風
16税務署の度なる通知余寒かな
17雪解けて道おちこちや世界地図
18眼の隅を指でふき取る余寒かな
19インコ鳴く声も余寒のなかにあり
20屋根よりの雪解のしずく早鐘に
21如月の陽射しの欠片漂いぬ
22仏間までピンクの香りヒヤシンス
23駅逓の雪解の水に鯉ゆらぐ
24雪解水ふわり越え来る転校生
25連覇への襷を晒す雪解川
26雪解河渡船に深紅のランドセル
27止まり木に名知らぬ馴染み欠く余寒
28雪解野や葬送幡の揺れ進む
29余寒ありひと日をぎゆつと縮こまり
30雪解水石に磨かれをりにけり
31せせらぎの調べ軽やか雪解水
32余寒とて美しき言葉やビル狭間
33雲払ふ風鳴る夜の余寒かな
34雪解けの水何処ゆく月明り
35触れ合う手ともに冷たき余寒かな
36雪解けの声に赤鬼面忘れ
37生垣に雪解のあと陽を追って
38駐車場まだ雪解の名残水
39起き抜けの朝の空気に余寒あり
40キッチンにお茶熱く入れ余寒めく
41友禅を透かし雪どけ水ながる
42下り落つ雪解けの水岩削る
43雪解河わたる客車に人は無く
44雪解けの水何処ゆく月明り
45触れ合う手ともに冷たき余寒かな
46地震に覚め支度の時の余寒かな
47ふる里の無人の駅の余寒かな
48風に耐え余寒にも耐え走る犬
49雪解けて吾子の靴下現わるる
50雪解の水があふれて暴れ川
51雪解風とき緩やかに山の宿
52轟々と光広ぐる雪解川
53余寒なほ眉間に皺の阿修羅像
54野仏の欠けし目鼻や余寒なほ
55余寒なほ画廊に架かる抽象画

 

★ネット句会への投句(5句)& 選句(5句)
https://ae-ne.com/c/haiku/entry/e/JFET4VCymDtxJaSr/

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3月の兼題【水温む】&【椿】(2月28日〆切

 

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【春の戦2・3・4月】

★3月の兼題(2月28日〆切。

【水温む】

春になって日差しがあたたかくなり、気温が上昇し、沼や池などの水もぬるんでくる。
傍題に、温む水、温む池、温む川、温む沼

【椿】

つやつやした肉厚の葉の中に真紅の花を咲かせる。花びらが散るのではなく、花ひとつが丸ごと落ちる。傍題に、玉椿、山椿、藪椿、落椿、白椿、紅椿、赤椿、椿咲く

 

※他に、当季雑詠、自由題でも可ですが季節ごとの勝ち抜き戦であることをご了承下さい。5句投句5句選句です。

 

<先句に学ぶ>

   さしのぞく古井の水もぬるみけり
                 富安風生

   赤い椿白い椿と落ちにけり
                河東碧梧桐

 

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2月号月の結果(冬の戦第三ステージ)

~~<主宰上野貴子選5句>~~

内宮へ詣づる人や淑気満つ
いつになく膝そろえ座す淑気かな
エメラルドの氷上渉たるオンネトウ
日昇り山の祠に淑気満つ
田のあらば神社ありけり淑気満つ


<点盛りの結果>

五点句

 

飴色に干魚艶めく浜小春        神長誉夫

釣り人の等間隔に湖小春        辻 雅宏

鈴の音を零して歩く七五三       伊藤 はな

 

四点句

調弦のホールに充ちる淑気かな     原田啓子

冬ざれの棚田の畦を風走る       水野幸子

眠る子の帯を解きし七五三       伊藤 はな

 

三点句

みどりごの含む乳房や淑気満つ     原田啓子

ぴたぴたと寒の水飲む猫の舌      辻 雅宏

飾られて路面電車のクリスマス     井上悦男

爺婆をしたがへ歩む千歳飴       辻 雅宏

冬ざるる村に一つの床屋かな      辻 雅宏

波白く海鳥高く小六月         上野貴子

飾られて路面電車のクリスマス     井上悦男

 

二点句

日昇り山の祠(ほこら)に淑気満つ    青山好男

甲高きインコの声や淑気満つ      水野幸子

御降りや文机の古書読み通し      阿部文彦

解き放つ管風琴の淑気今        神長誉夫

谷抉る清く厳しき寒の水        神長誉夫

銭湯の富士の壁画や淑気満つ      辻 雅宏

途中下車してまで歩く小春空      辻 雅宏

小春凪海鳥の群れ河口まで       上野貴子

初雪や屋根すべり落つ音かろし     水野幸子

湯けむりに夕陽落として山眠る     阿部文彦

冬ざれにブランコのなほ揺れのこり   青山好男

秋時雨鷹は小屋にて眠りをり      広田洋一

何の日か問う子もにぎる千歳あめ   原田啓子

江の島や小春に浮かぶ富士の影    広田洋一

凩に向かって走るランドセル     阿部文彦

小春日のピアノ鳴り来る上り坂    山本佐和子

 

一点句

突として訃報舞い来る寒椿       阿部文彦

寒の水滴る刃文青く燃ゆ        神長誉夫

内宮へ詣づる人や淑気満つ      辻 雅宏

エメラルドの氷上渉たるオンネトウ   水野幸子

いつになく膝そろえ座す淑気かな    原田啓子

田のあらば神社ありけり淑気満つ   井上悦男

喉元におどるカプセル寒の水      原田啓子

散り際を何ぞためらう寒椿       青山好夫

寒の水世継ぎの服を濯ぎおり      山本佐和子

息つかず喉通したり寒の水       水野幸子

寒の水土鍋に注ぎお味噌汁       山中千明

峰々の淑気カールを滑り来て      神長誉夫

御降りの彼方に揺らぐ漁舟       阿部文彦

寒の水世継ぎの服を濯ぎおり      山本佐和子

仏壇の寒の水澄むりんの音       青山好男

吹雪く海口開けているお化け岩     辻 雅宏

高速に早や灯のともり冬ざるる     原田啓子

エアメール開けばメリークリスマス   辻 雅宏

冬ざれや櫓にのぼる影一つ       青山好男

人の影なくて古寺虎落笛        阿部文彦

繰り返すエチュード聖夜は更けゆきて  神長誉夫

乳飲み子の薄目開け閉め冬ざるる    原田啓子

冬ざれの森に巣箱の黄が残り      神長誉夫

子がありて親のはりきるクリスマス   原田啓子

宅配のピザを加へてクリスマス     辻 雅宏

ふところに白樺抱いて山眠る      阿部文彦

冬ざれて川沿いに雀来ている      上野貴子

冬ざれた里山ひとつ越え真昼      上野貴子

冬ざれて透明度増す赤信号       原田啓子

図書館に哲学の在り冬ざれて      山本佐和子

冬ざれて裏戸に菜っ葉解かず置く    上野貴子

ケーキ欲しダイエットでもクリスマス  山本佐和子

救急のサイレン響く街聖夜       青山好男

一年の無沙汰を詫びて賀状書く     阿部文彦

小春日や猫眠る屋根雲の下      青山好男

縁側で爪切る母の小春かな      辻 雅宏

ベランダで小春にそよぐ七分丈     響 あづ妙

千歳飴引きずり歩く着物の子      響 あづ妙

玉砂利を踏みしめる音七五三     水野幸子

小春日に抱かれて矮鶏の鶏冠咲く   神長誉夫

紅ひいて唇紡ぐ七五三         響 あづ妙

父笑う紅引き笑う娘見て        響 あづ妙

おくるみに小春の光編み込んで     原田啓子

七五三鳥居の長き影踏みて       青山好男

お互ひに孫連れ出会ふ七五三     辻 雅宏

ジャケットの似合うふ青年恋小春    伊藤はな

小春日を分け合う人の写真立て     神長誉夫

産土の神のお祓ひ七五三       広田洋一

 

 

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※ネット句会では当季雑詠自由題もしくは、兼題での投句を受け付けております。季感が明らかにずれている俳句の投句はお断りしておりますことご了承下さい。

 

~~~勝ち抜き戦の結果・冬の戦~~~

飴色に干魚艶めく浜小春・・・五点
釣り人の等間隔に湖小春・・・五点

冬の戦では小春の句が勝ち残りましたね。寒さが厳しい中の小春日は心が和み美しい風景とよく合うのですね。次回はもう春の戦となります。

(冬:11月~1月)

 

~~~今月の選評~~~

日昇り山の祠に淑気満つ

祠に焦点を合わせて詠ませており「淑気」との取り合わせが新鮮です。日の出とともに光が当たり始め、何か粛々とした神々しい空気感を醸し出している光景が目に浮かびます。

 

 

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★3月の兼題(2月末日〆切

 

【水温む】と【椿】

他に、当季雑詠、自由題でも投句可能とし、5句投句5句選句です。

 

※ネット句会では当季雑詠自由題もしくは、兼題での投句を受け付けております。季感が明らかにずれている俳句の投句は季節ごとの勝ち抜き戦のためお断りしておりますことご了承下さい。

 

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【今月のワンポイントレッスン】

 

【おしゃべりHAIKU勉強会より】2021年12月号より

 

「や」「かな」「けり」の切れ字について「奥の細道」に視点を当て勉強してきましたが、12月号では、11月の月末定例句会勉強会から見てみましょう。

 

目に青葉山郭公初鰹・・・素堂

 

まずこの句は甲州の江戸の俳人山口素堂(そどう)作ですが、切れ字こそありませんが三段切れが効果的な反則技の句として有名です。季重りでもあり斬新な印象が鮮明に残る俳句です。

 

あらたうと青葉若葉の日の光・・・芭蕉

 

こちらは芭蕉46才「奥の細道」の句です。「なんと瑞々しい青葉も若葉も陽光に輝いていることだ」という解釈となりますが、この句にしても切れ字は無く季語は季重りです。日光東照宮の句、中七の緑の木々の葉の濃淡を季重りで「青葉若葉」と言っている。反則技ですが日光の美しさと東照宮の素晴らしさが伝わります。徳川家康が祀られているだけあって、現代でも謎めくほどの豪華さは未だに神秘的です。

 

降る雪や明治は遠くなりにけり・・草田男

 

この句は明治から昭和の作者の代表句。この句には切れ字「や」「けり」が2つあり反則技ですね。短い17文字の俳句の世界では、決まり事はあって無いようなものですね。令和を生きる私達には、もはや「切れ字」そのものは無いものとして考えても良いように考えます。レトリック的な技法で古典的なリズムを作り出してしまうだけに陥り易いです。

(2021年令和四年一月 上野貴子)

 

「俳句TV」ミニ講座下記より

★過去番組ページはこちら http://uenotakako.com/?post_type=haikutv

 

【ネット句会後記】

 

冬の戦は五点句が並び接戦で終わりました。立春を過ぎて各地で大雪に見舞われています。皆さんのところではいかがでしたか。早くあったかくなって欲しいですね、そんな気持ちで、兼題は水温むと椿にさせて戴きました。春の戦の始まりです。多くの皆さんからの投句をお待ちしています。

(2022年令和三年二月 辻 雅宏)

 

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