今月の投句(春の戦最終ステージ)
1遅き日のたてぶえ響く通学路
2花冷えや地球一周ぶん歩く
3遅日にて夕寝は昼寝となりにけり
4花冷えの蕊の真紅のくっきりと
5花冷えや国一丸の晴天日
6目覚めても日差し明るき遅日かな
7花冷や行き着く先の海の青
8戦争の報道昼夜遅日かな
9この星の戦い憂ふ花の冷
10花冷や終着近き一両車
11在庫なし遅日の書店めぐる旅
12暮遅し猫の窓辺に長く居り
13花冷の節電対策犬を抱く
14花冷ゆるコーンポタージュの舌ざわり
15花冷や地下鉄内の人丸く
16白米の炊けてキッチン暮れ兼ねる
17エコバック買い物帰り夕永し
18花冷えの町を救急車が走る
19コロナ禍の花冷えに人は無口で
20花冷えの風はさわさわ泣くもんか
21堀の水行きどころ無く遅日かな
22枝と枝重なる影や夕長し
23花冷えを描く老爺のベレー帽
24花冷える街路の狭しランドセル
25花冷えや花見るひとの顔白し
26花冷えやコロナで家に籠りけり
27ベランダに紫煙くゆらす花の冷え
28盆栽の鋏の音や遅日なる
29鎌倉へ母を連れだす遅日かな
30蔵町に鐘の音ひびく遅日かな
31はこべらを食みてインコは緑の香
32雪割の鶴嘴春の音立てて
33ふらここや曽孫を膝に青空へ
34故郷の人らのよぎる春の地震
35種袋ひしめく命ざわめきて
36花冷えや夜へと急ぐ貨車の群れ
37キャンドルに影濃き祈り花の冷え
38花冷えや児を抱く手が銃掴む
39耳朶にピアスの悔いや花の冷え
40花冷えや紅茶にミルクの乱れ雲
41遅日かな夕餉の支度忘れおり
42柵越しに馬と目の合う遅日かな
43夕長くなれど定時の店じまい
44一国の花冷え世界を震撼す
45チョッキ着た犬も小走り花の冷え
46三椏の花の香りに立ち止まる
47遅き日の帰りに遊ぶ幼稚園
48暮れかぬる夕陽眺めて散歩かな
49雪形の種蒔き兎どこ隠れ
50花冷えや如何にするかと電話する
51境内に鳩まだ遊ぶ遅日かな
52遅日とて猫の帰宅も遅くなり
53ひもすがら上野公園花の冷え
54花冷の宴となりぬ一夜城
55花冷や一枚羽織り庭仕事
56水温む長靴を干す真昼時
57夕椿角のコンビニ野菜市
58珈琲を片手に宵の朧月
59振り向くな突っ走れ早春の吾
60泣きたくて泣けぬ夜道の白椿
61飛び石を濡らす茶庭の水温む
62躙り口覗く椿の赤さかな
63戸口より笑ひこぼるる雛の家
64雛飾る母娘三代昼下がり
65箱出でて頬の冷たき女雛かな
66蓮池の鯉の揺らぎや水温む
67一輪の椿を添えて床飾る
68さびしくて鈴転がして鳴く子猫
69インコ走るしぐさおかしき春の音
70立春の大雪山の光かな
71落椿拾い集めて手水鉢
72水温む池の水面空戻る
73く見れば玄関脇に雪間草
74花粉症まってましたと飛ぶ構え
75春動く小さな小山盛り上がる
76水温む宇治橋架かる五十鈴川
77顔洗ふ無骨なる手に水温む
78背き合ふ赤い椿と白椿
79椿落つ猫驚きて尾を立てり
80廃屋と知るや知らずや椿咲く
81椿落つ上り電車の始発駅
82紅つばき模したるみやび京和菓子
83赤子はやはじめの一歩水温む
84椿落つ小川の水に日の反射
85水温む鍵の振れゐるランドセル
88せせらぎの音も軽やか水温む
89五日ほどジョギング休み水温む
90華やかな時もあったと散る椿
91人の来ぬ池畔に開く白椿
92廃屋を護りて咲くや藪椿
93一日を大事に大事に椿咲く
94撮影を待ち居る如く椿咲く
95落椿拾えばしとり艶めいて
96気掛かりは人それぞれに椿落つ
97身の内の大半占めて水温む
98投げキスで立去る舞台落椿
99誘われて鼻寄せてみる白
100落椿これっきりよと言うごとく
101去の人想いだしおり水温む
102三味線の指しなやかに水温む
103余寒なほ眉間に皺の阿修羅像
104枕木を数えてわたる雪解風
105雪解けて吾子の靴下現るる
106轟々と光広ぐる雪解川
107連覇への襷を晒す雪解川
108余寒なほ体育館の保護者会
109友禅を透かし雪どけ水ながる
110駅逓の雪解の水に鯉ゆらぐ
111雪解水ふわり越え来る転校生
112霊山の嶺より落つる雪解水
113仏間までピンクの香りヒヤシンス
114地震に覚め支度の時の余寒かな
115雪解川往くに存分なる日差し
116雪解川所々に鄙びた草浸る
117野仏の欠けし目鼻や余寒なほ
118雪解河わたる客車に人は無く
119寸借の厠に残る寒さかな
120冷えきったサンドイッチの余寒かな
121余寒とて美しき言葉やビル狭間
122屋根よりの雪解のしずく早鐘に
123余寒ありひと日をぎゆつと縮こまり
124触れ合う手ともに冷たき余寒かな
125ふる里の無人の駅の余寒かな
126雪解けの声に赤鬼面忘れ
127せせらぎの調べ軽やか雪解水
★ネット句会への投句(5句)& 選句(5句)
https://ae-ne.com/c/haiku/entry/e/JFET4VCymDtxJaSr/
★LINE公式俳句大会発表はこちらから
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5月の兼題【衣更】&【薔薇】(4月30日〆切)
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【夏の戦5・6・7月】
★5月の兼題(4月30日〆切。)
【更衣】
冬から春にかけて着用した厚手の衣服を夏物に着替えることをいう。
傍題に、衣更ふ。
【薔薇】
その姿と香で広く愛され品種も多い。
傍題に、さうび、薔薇園、紅薔薇、白薔薇、薔薇の雨など。
※他に、当季雑詠、自由題でも可ですが季節ごとの勝ち抜き戦であることをご了承下さい。5句投句5句選句です。
<先句に学ぶ>
試着してストレス増やす更衣
廣田㐂代子
どの家も薔薇を咲かせて新開地
前橋春菜
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4月号3月の結果(春の戦第2ステージ)
~~<主宰上野貴子選5句>~~
雛飾る母娘三代昼下がり
さびしくて鈴ころがして鳴く子猫
落椿拾い集めて手水桶
よく見れば玄関脇に雪間草
椿落つ上り電車の始発駅
<点盛りの結果>
八点句
余寒なほ眉間に皺の阿修羅像 龍野ひろし
五点句
赤子はやはじめの一歩水温む 井上悦男
枕木を数えてわたる雪解風 原田啓子
四点句
戸口より笑ひこぼるる雛の家 青山好男
三点句
椿落つ上り電車の始発駅 井上悦男
雪解けて吾子の靴下現るる 阿部文彦
轟々と光広ぐる雪解川 龍野ひろし
連覇への襷を晒す雪解川 神永誉夫
余寒なほ体育館の保護者会 辻 雅宏
二点句
水温む鍵の振れゐるランドセル 井上悦男
さびしくて鈴転がして鳴く子猫 水野幸子
落椿拾い集めて手水鉢 野里 安のり
紅つばき模したるみやび京和菓子 井上悦男
廃屋を護りて咲くや藪椿 阿部文彦
箱出でて頬の冷たき女雛かな 青山好男
椿落つ猫驚きて尾を立てり 辻 雅宏
ふる里の無人の駅の余寒かな 阿部文彦
余寒とて美しき言葉やビル狭間 井上悦男
雪解河わたる客車に人は無く 青山好男
友禅を透かし雪どけ水ながる 青山好男
駅逓の雪解の水に鯉ゆらぐ 水野幸子
雪解水ふわり越え来る転校生 神永誉夫
霊山の嶺より落つる雪解水 辻 雅宏
一点句
顔洗ふ無骨なる手に水温む 辻 雅宏
一日を大事に大事に椿咲く 原田啓子
泣きたくて泣けぬ夜道の白椿 上野貴子
蓮池の鯉の揺らぎや水温む 水野幸子
五日ほどジョギング休み水温む 阿部文彦
友禅を透かし雪どけ水ながる 青山好男
雛飾る母娘三代昼下がり 青山好男
よく見れば玄関脇に雪間草 野里 安のり
椿落つ小川の水に日の反射 井上悦男
三味線の指しなやかに水温む 原田啓子
立春の大雪山の光かな 水野幸子
仏間までピンクの香りヒヤシンス 水野幸子
地震に覚め支度の時の余寒かな 阿部文彦
雪解川往くに存分なる日差し 山本佐和子
雪解川所々に鄙びた草浸る 山本佐和子
野仏の欠けし目鼻や余寒なほ 龍野ひろし
寸借の厠に残る寒さかな 辻 雅宏
冷えきったサンドイッチの余寒かな 山本佐和子
屋根よりの雪解のしずく早鐘に 水野幸子
余寒ありひと日をぎゆつと縮こまり 井上悦男
触れ合う手ともに冷たき余寒かな 青山好男
雪解けの声に赤鬼面忘れ 上野貴子
せせらぎの調べ軽やか雪解水 井上悦男
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※ネット句会では当季雑詠自由題もしくは、兼題での投句を受け付けております。季感が明らかにずれている俳句の投句はお断りしておりますことご了承下さい。
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大賞 濱野 洋子 部室にも一礼をして卒業す
2点句
山本 佐和子 卒業歌謳い終われば独りなり
遅き日のたてぶえ響く通学路
濱野 洋子 青春切符胸とどろかす遅日かな
山田 純 春陽に背中を押され走る朝
Keiko 古雛や一つ欠けたる撥太鼓
さこたゆう 春夕焼レッスン帰り深呼吸
橋詰 博 待望のワクチン終えて水温む
1点句
南出千賀子 花冷のショールに重なる愛大小(あいだいしょう)
牡丹雪陽の幻か待つ人か
川沿いをふわりと散歩夕永し
富岡眞奈 ひなあられ娘はすでに嫁に行き
大堀亮造 冴え返る今朝も暖取る卵焼き
神尾清子 玉堤さくらの枝にさくら色
山田 純 春のとりふわりと温み肩に居り
花冷えにしまったコートをまた羽織る
徹夜明け自分にご褒美桜ラテ
大倉宏美 花冷に遊べよちょうちょかくれんぼ
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~~~勝ち抜き戦の結果・春の戦~~~
余寒なほ眉間に皺の阿修羅像・・・八点
2022年の春はどうも厳しい句が勝ち抜いています。毎日ニュースでは桜の話題と一緒にウクライナ情勢が報道されていて、何だか春のほのぼのとした空気に浸る間もないコロナ禍を反映しているような句ですね。日本はもう春爛漫の桜の季節です。どうか素敵な句を沢山お送りください。恐ろしいパンデミックな時代が早く終わるといいです。
(春:2月~4月)
~~~今月の選評~~~
五日ほどジョギング休み水温む
冬から春へと移り変わる時季は、変わり始めるとあっという間に暖かくなる時があります。ジョギングを数日休んだだけなのに、その数日の間にいつの間にか春めいていたという実感と驚きが、細かな説明無しでユーモラスに見事に表現されていると思いました。
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★5月の兼題(4月末日〆切)
【更衣】と【薔薇】
他に、当季雑詠、自由題でも投句可能とし、5句投句5句選句です。
※ネット句会では当季雑詠自由題もしくは、兼題での投句を受け付けております。季感が明らかにずれている俳句の投句は季節ごとの勝ち抜き戦のためお断りしておりますことご了承下さい。
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【今月のワンポイントレッスン】
【おしゃべりHAIKU勉強会より】2022年3月号より
「や」「かな」「けり」の切れ字についてこのコーナーでは「奥の細道」に視点を当て勉強してきました。今回は春の吟行会で行く予定の千住大橋の句を見てみましょう。
行く春や鳥啼きうをの目は泪・・・芭蕉
この句は芭蕉46才「奥の細道」の中の名句です。千住大橋の袂までお弟子さん達が別れを惜しみ見送りに来て、とうとうここで別れて、この先は曽良との奥州への旅が始まります。
奥州街道とは、江戸千住から奥州白河に至る街道。江戸時代の五街道の一つです。この旅が厳しい覚悟を決めた旅であることが、この別れの句から読みとれます。
切れ字としては「や」が使われていますね。芭蕉が一番よく使う好きな切れ字のようです。「や」は今でも使われますが、その意味は詠嘆や強調ですね。柔らかな語調などからも使われやすい切れ字です。しかも上五ですので、ここでは効果的に春の別れを物語っているのでしょう。
芭蕉は奥の細道の中で、この切れ字「や」を全六十二句の中で二十九句も使っています。半数近くが「や」のある俳句となりますね。これは調べてみて意外でしたが、面白い結果でした。どこか和歌の様な言葉のリズムや柔らかさをかもちだす切れ字「や」は、詠嘆を感じさせてくれる便利な作句法だったようです。
芭蕉のこの句は、鳥や魚たちまでもがお弟子さん達と一緒に芭蕉の春の旅立ちを惜しんでいるという美しい句です。春の別れは今も昔も美しい物語を作り出す不思議なものですね。
(2022年令和四年四月 上野貴子)
「俳句TV」ミニ講座下記より
★過去番組ページはこちら
http://uenotakako.com/?post_type=haikutv
【ネット句会後記】
春の戦第2ステージは支持を集めた句が8点句となりました。最終ステージでも逃げ切りそうな気配です。そして、夏の戦の準備です。初夏らしい季語を用意しました。
(令和四年四月 辻 雅宏)
★ネット句会への投句(5句)& 選句(5句)
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