2022年4月ネット句会

今月の投句(春の戦最終ステージ) 

1遅き日のたてぶえ響く通学路

2花冷えや地球一周ぶん歩く

3遅日にて夕寝は昼寝となりにけり

4花冷えの蕊の真紅のくっきりと

5花冷えや国一丸の晴天日

6目覚めても日差し明るき遅日かな   

7花冷や行き着く先の海の青

8戦争の報道昼夜遅日かな

9この星の戦い憂ふ花の冷

10花冷や終着近き一両車

11在庫なし遅日の書店めぐる旅

12暮遅し猫の窓辺に長く居り

13花冷の節電対策犬を抱く

14花冷ゆるコーンポタージュの舌ざわり

15花冷や地下鉄内の人丸く

16白米の炊けてキッチン暮れ兼ねる

17エコバック買い物帰り夕永し

18花冷えの町を救急車が走る

19コロナ禍の花冷えに人は無口で

20花冷えの風はさわさわ泣くもんか

21堀の水行きどころ無く遅日かな

22枝と枝重なる影や夕長し

23花冷えを描く老爺のベレー帽

24花冷える街路の狭しランドセル

25花冷えや花見るひとの顔白し

26花冷えやコロナで家に籠りけり

27ベランダに紫煙くゆらす花の冷え

28盆栽の鋏の音や遅日なる

29鎌倉へ母を連れだす遅日かな

30蔵町に鐘の音ひびく遅日かな

31はこべらを食みてインコは緑の香

32雪割の鶴嘴春の音立てて

33ふらここや曽孫を膝に青空へ

34故郷の人らのよぎる春の地震

35種袋ひしめく命ざわめきて

36花冷えや夜へと急ぐ貨車の群れ

37キャンドルに影濃き祈り花の冷え

38花冷えや児を抱く手が銃掴む

39耳朶にピアスの悔いや花の冷え

40花冷えや紅茶にミルクの乱れ雲

41遅日かな夕餉の支度忘れおり

42柵越しに馬と目の合う遅日かな

43夕長くなれど定時の店じまい

44一国の花冷え世界を震撼す

45チョッキ着た犬も小走り花の冷え

46三椏の花の香りに立ち止まる

47遅き日の帰りに遊ぶ幼稚園

48暮れかぬる夕陽眺めて散歩かな

49雪形の種蒔き兎どこ隠れ

50花冷えや如何にするかと電話する

51境内に鳩まだ遊ぶ遅日かな

52遅日とて猫の帰宅も遅くなり

53ひもすがら上野公園花の冷え

54花冷の宴となりぬ一夜城

55花冷や一枚羽織り庭仕事

56水温む長靴を干す真昼時

57夕椿角のコンビニ野菜市

58珈琲を片手に宵の朧月

59振り向くな突っ走れ早春の吾

60泣きたくて泣けぬ夜道の白椿

61飛び石を濡らす茶庭の水温む

62躙り口覗く椿の赤さかな

63戸口より笑ひこぼるる雛の家

64雛飾る母娘三代昼下がり

65箱出でて頬の冷たき女雛かな

66蓮池の鯉の揺らぎや水温む

67一輪の椿を添えて床飾る

68さびしくて鈴転がして鳴く子猫

69インコ走るしぐさおかしき春の音

70立春の大雪山の光かな

71落椿拾い集めて手水鉢

72水温む池の水面空戻る

73く見れば玄関脇に雪間草

74花粉症まってましたと飛ぶ構え

75春動く小さな小山盛り上がる

76水温む宇治橋架かる五十鈴川

77顔洗ふ無骨なる手に水温む

78背き合ふ赤い椿と白椿

79椿落つ猫驚きて尾を立てり

80廃屋と知るや知らずや椿咲く

81椿落つ上り電車の始発駅 

82紅つばき模したるみやび京和菓子

83赤子はやはじめの一歩水温む

84椿落つ小川の水に日の反射

85水温む鍵の振れゐるランドセル

88せせらぎの音も軽やか水温む

89五日ほどジョギング休み水温む

90華やかな時もあったと散る椿

91人の来ぬ池畔に開く白椿

92廃屋を護りて咲くや藪椿

93一日を大事に大事に椿咲く

94撮影を待ち居る如く椿咲く

95落椿拾えばしとり艶めいて

96気掛かりは人それぞれに椿落つ

97身の内の大半占めて水温む

98投げキスで立去る舞台落椿

99誘われて鼻寄せてみる白

100落椿これっきりよと言うごとく

101去の人想いだしおり水温む

102三味線の指しなやかに水温む

103余寒なほ眉間に皺の阿修羅像      

104枕木を数えてわたる雪解風        

105雪解けて吾子の靴下現るる       

106轟々と光広ぐる雪解川          

107連覇への襷を晒す雪解川         

108余寒なほ体育館の保護者会        

109友禅を透かし雪どけ水ながる       

110駅逓の雪解の水に鯉ゆらぐ        

111雪解水ふわり越え来る転校生       

112霊山の嶺より落つる雪解水        

113仏間までピンクの香りヒヤシンス     

114地震に覚め支度の時の余寒かな      

115雪解川往くに存分なる日差し       

116雪解川所々に鄙びた草浸る        

117野仏の欠けし目鼻や余寒なほ       

118雪解河わたる客車に人は無く      

119寸借の厠に残る寒さかな         

120冷えきったサンドイッチの余寒かな    

121余寒とて美しき言葉やビル狭間      

122屋根よりの雪解のしずく早鐘に     

123余寒ありひと日をぎゆつと縮こまり   

124触れ合う手ともに冷たき余寒かな     

125ふる里の無人の駅の余寒かな       

126雪解けの声に赤鬼面忘れ         

127せせらぎの調べ軽やか雪解水       

  

★ネット句会への投句(5句)& 選句(5句)

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★LINE公式俳句大会発表はこちらから

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 5月の兼題【衣更】&【薔薇】(4月30日〆切)

 ★ネット句会への投句(5句)& 選句(5句)

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 【夏の戦5・6・7月】

★5月の兼題(4月30日〆切。)

 【更衣】

冬から春にかけて着用した厚手の衣服を夏物に着替えることをいう。
傍題に、衣更ふ。

 【薔薇】

その姿と香で広く愛され品種も多い。
傍題に、さうび、薔薇園、紅薔薇、白薔薇、薔薇の雨など。

  

※他に、当季雑詠、自由題でも可ですが季節ごとの勝ち抜き戦であることをご了承下さい。5句投句5句選句です。

 

<先句に学ぶ>

   試着してストレス増やす更衣
              廣田㐂代子

   どの家も薔薇を咲かせて新開地
                  前橋春菜

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 4月号3月の結果(春の戦第2ステージ)

 ~~<主宰上野貴子選5句>~~

雛飾る母娘三代昼下がり

さびしくて鈴ころがして鳴く子猫

落椿拾い集めて手水桶

よく見れば玄関脇に雪間草

椿落つ上り電車の始発駅

 

<点盛りの結果>

 八点句

余寒なほ眉間に皺の阿修羅像      龍野ひろし

五点句

赤子はやはじめの一歩水温む       井上悦男

枕木を数えてわたる雪解風        原田啓子

四点句

戸口より笑ひこぼるる雛の家       青山好男

三点句

椿落つ上り電車の始発駅         井上悦男

雪解けて吾子の靴下現るる        阿部文彦

轟々と光広ぐる雪解川          龍野ひろし

連覇への襷を晒す雪解川         神永誉夫

余寒なほ体育館の保護者会        辻 雅宏

 二点句

 水温む鍵の振れゐるランドセル      井上悦男

さびしくて鈴転がして鳴く子猫      水野幸子

落椿拾い集めて手水鉢          野里 安のり

紅つばき模したるみやび京和菓子     井上悦男

廃屋を護りて咲くや藪椿         阿部文彦

箱出でて頬の冷たき女雛かな       青山好男

椿落つ猫驚きて尾を立てり        辻 雅宏

ふる里の無人の駅の余寒かな       阿部文彦

余寒とて美しき言葉やビル狭間      井上悦男

雪解河わたる客車に人は無く       青山好男

友禅を透かし雪どけ水ながる       青山好男

駅逓の雪解の水に鯉ゆらぐ        水野幸子

雪解水ふわり越え来る転校生       神永誉夫

霊山の嶺より落つる雪解水        辻 雅宏

 一点句

顔洗ふ無骨なる手に水温む        辻 雅宏

一日を大事に大事に椿咲く        原田啓子

泣きたくて泣けぬ夜道の白椿       上野貴子

蓮池の鯉の揺らぎや水温む        水野幸子

五日ほどジョギング休み水温む      阿部文彦

友禅を透かし雪どけ水ながる       青山好男

雛飾る母娘三代昼下がり         青山好男

よく見れば玄関脇に雪間草        野里 安のり

椿落つ小川の水に日の反射        井上悦男

三味線の指しなやかに水温む       原田啓子

立春の大雪山の光かな          水野幸子

仏間までピンクの香りヒヤシンス     水野幸子

地震に覚め支度の時の余寒かな      阿部文彦

雪解川往くに存分なる日差し       山本佐和子

雪解川所々に鄙びた草浸る        山本佐和子

野仏の欠けし目鼻や余寒なほ       龍野ひろし

寸借の厠に残る寒さかな         辻 雅宏

冷えきったサンドイッチの余寒かな    山本佐和子

屋根よりの雪解のしずく早鐘に      水野幸子

余寒ありひと日をぎゆつと縮こまり    井上悦男

触れ合う手ともに冷たき余寒かな     青山好男

雪解けの声に赤鬼面忘れ         上野貴子

せせらぎの調べ軽やか雪解水       井上悦男

 

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 ※ネット句会では当季雑詠自由題もしくは、兼題での投句を受け付けております。季感が明らかにずれている俳句の投句はお断りしておりますことご了承下さい。

  

~LINE公式俳句大会月結果発表~

 大賞 濱野 洋子 部室にも一礼をして卒業す

 2点句

 山本 佐和子  卒業歌謳い終われば独りなり

         遅き日のたてぶえ響く通学路

濱野 洋子      青春切符胸とどろかす遅日かな

山田 純     春陽に背中を押され走る朝

Keiko     古雛や一つ欠けたる撥太鼓

さこたゆう    春夕焼レッスン帰り深呼吸

橋詰 博     待望のワクチン終えて水温む

 

1点句 

 南出千賀子  花冷のショールに重なる愛大小(あいだいしょう)

        牡丹雪陽の幻か待つ人か

        川沿いをふわりと散歩夕永し

富岡眞奈    ひなあられ娘はすでに嫁に行き

大堀亮造    冴え返る今朝も暖取る卵焼き

神尾清子    玉堤さくらの枝にさくら色

山田 純      春のとりふわりと温み肩に居り

                      花冷えにしまったコートをまた羽織る

                      徹夜明け自分にご褒美桜ラテ

大倉宏美          花冷に遊べよちょうちょかくれんぼ

 

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 ※ネット句会ではこのページにてLINE公式俳句大会の結果発表と連動してまいります。

 

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~~~勝ち抜き戦の結果・春の戦~~~

     

余寒なほ眉間に皺の阿修羅像・・・八点

 

2022年の春はどうも厳しい句が勝ち抜いています。毎日ニュースでは桜の話題と一緒にウクライナ情勢が報道されていて、何だか春のほのぼのとした空気に浸る間もないコロナ禍を反映しているような句ですね。日本はもう春爛漫の桜の季節です。どうか素敵な句を沢山お送りください。恐ろしいパンデミックな時代が早く終わるといいです。

(春:2月~4月)

 

 

~~~今月の選評~~~

 

五日ほどジョギング休み水温む

 

冬から春へと移り変わる時季は、変わり始めるとあっという間に暖かくなる時があります。ジョギングを数日休んだだけなのに、その数日の間にいつの間にか春めいていたという実感と驚きが、細かな説明無しでユーモラスに見事に表現されていると思いました。

 

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★5月の兼題(4月末日〆切)

 【更衣】と【薔薇】

他に、当季雑詠、自由題でも投句可能とし、5句投句5句選句です。

 ※ネット句会では当季雑詠自由題もしくは、兼題での投句を受け付けております。季感が明らかにずれている俳句の投句は季節ごとの勝ち抜き戦のためお断りしておりますことご了承下さい。

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【今月のワンポイントレッスン】

【おしゃべりHAIKU勉強会より】2022年3月号より

 「や」「かな」「けり」の切れ字についてこのコーナーでは「奥の細道」に視点を当て勉強してきました。今回は春の吟行会で行く予定の千住大橋の句を見てみましょう。 

行く春や鳥啼きうをの目は泪・・・芭蕉

 この句は芭蕉46才「奥の細道」の中の名句です。千住大橋の袂までお弟子さん達が別れを惜しみ見送りに来て、とうとうここで別れて、この先は曽良との奥州への旅が始まります。
 奥州街道とは、江戸千住から奥州白河に至る街道。江戸時代の五街道の一つです。この旅が厳しい覚悟を決めた旅であることが、この別れの句から読みとれます。
 切れ字としては「や」が使われていますね。芭蕉が一番よく使う好きな切れ字のようです。「や」は今でも使われますが、その意味は詠嘆や強調ですね。柔らかな語調などからも使われやすい切れ字です。しかも上五ですので、ここでは効果的に春の別れを物語っているのでしょう。
 芭蕉は奥の細道の中で、この切れ字「や」を全六十二句の中で二十九句も使っています。半数近くが「や」のある俳句となりますね。これは調べてみて意外でしたが、面白い結果でした。どこか和歌の様な言葉のリズムや柔らかさをかもちだす切れ字「や」は、詠嘆を感じさせてくれる便利な作句法だったようです。
 芭蕉のこの句は、鳥や魚たちまでもがお弟子さん達と一緒に芭蕉の春の旅立ちを惜しんでいるという美しい句です。春の別れは今も昔も美しい物語を作り出す不思議なものですね。

(2022年令和四年四月 上野貴子)

 「俳句TV」ミニ講座下記より
★過去番組ページはこちら
http://uenotakako.com/?post_type=haikutv

 【ネット句会後記】

  春の戦第2ステージは支持を集めた句が8点句となりました。最終ステージでも逃げ切りそうな気配です。そして、夏の戦の準備です。初夏らしい季語を用意しました。

(令和四年四月 辻 雅宏)

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