今月の投句(春の戦最終ステージ)
1桜貝月の砂漠に流れ着き
2小石かと蟹が蹴とばす桜貝
3帰る家まだある桜貝の詩
4蛙まだ見かけぬうちに目借時
5悔しさに砂浜白く桜貝
6砂浅し波に逆らう桜貝
7桜貝置き所無く海広し
8桜貝繰り返し聴く波の音
9桜貝寄せては返す浪静か
10城映す狛犬まなこねこやなぎ
11鈍行の揺れにまかせる目借時
12二駅を乗り越し気づく目借時
13濡れ縁の猫も舟こぐ目借時
14抽斗に遠き日の恋さくら貝
15乙姫の置き忘れかも桜貝
16砂を透き潮騒を聴く桜貝
17止まり木のインコ静かな目借時
18いつの間にこんなところに一人静
19小さき日のあの思い出に蓬摘む
20木漏れ日や鳥のきている猫柳
21星の降る渚に帰す桜貝
22上り待つ田中の駅の目借時
23桜貝出でし亡父のピース缶
24濡髪にカルキの臭ふ目借時
25朝の浜花貝未だ夢の色
26忍び寄る汚染知らずや桜貝
27さくら貝これは羽化した恋の羽
28このような心でいたい桜貝
29綿々と恋語る友目借時
30目借時ご不在通知が玄関に
31曳く波の光残せしさくら貝
32海の歌歌ひて帰るさくら貝
33寝ころべば海の匂ひや桜貝
34さざ波の絶えることなし桜貝
35曳く波の足跡消すや桜貝
36疵の互いに抱きしめ合ひぬ桜貝
37世の此岸生きて蛙の目借り時
38砂浜の文字の句点よ桜貝
39雨音に目閉づ蛙の目借時
40黒人の娘のふと拾ふ桜貝
41忘れ潮ひとつ残りし桜貝
42波打ちに波に揺らるる桜貝
43流さるるままに生き抜く桜貝
44横笛に指動かざる目借時
45住職の法話かすかに目借時
46春めきて鼻歌漏るる海女の小屋
47春めきて薩摩切子を二つ買う
48鳥帰る空紅色に染まるとき
49かげろへる原爆ドーム昼の黙
50軽やかに発車のチャイム春めけり
51ピンと立つ猫のしっぽや春めきぬ
52遠山の丸く見える日春めきぬ
53フリースに包まれ眠る春の風邪
54調弦の軽く揃いて春めきぬ
55小魚の跳ぬる波紋や春めきぬ
56鳥帰るシベリアまでの空遠く
57陽炎や軽トラに立つ古箪笥
58冒険といふは誰にも鳥帰る
59投げ竿の放物線や鳥雲に
60マシン吠ゆル・マンの陽炎引き裂きて
61碧天を戦火の郷へ鳥帰る
62鳥帰る故郷へ向かふ夜行バス
63餌ねだる猫の鳴き声春めけり
64障子戸の春めく光部屋に満つ
65春めきてろくろの土の良く喋る
66日当たりの斜めの庭も春めけり
67春風邪や窓から見る山遠し
68春めくやひかり膨らむ堰の水
69鍵盤に弾む指先春めけり
70陽炎の中より吾子が現わるる
71鍵盤に弾む指先春めけり
72鳥帰る人なきコインランドリー
73捨つ郷や母の影さえかぎろひて
74つぎつぎと水面くずして鳥帰る
75一列に並びて北へ鳥帰る
76鈍色の空を二手に鳥帰る
77伊吹嶺の浮雲かすめ鳥帰る
78引き上ぐる浜の小船や鳥雲に
79陽炎に彷徨う少年探偵団
80陽炎いて貨物列車の浮いてくる
81軽やかに発車のチャイム春めけり
82春めきてシェフの帽子も背を伸ばし
83君のならくれてもいいよ春の風邪
84妻からのメールにハート春めける
85オリオンに向ひ帰宅や春めきて
86光さす千体仏や春めけり
87一人寝の夜のいつまでも春の風邪
88レトルトの匂いの粥と春の風邪
89春の風邪汽笛掠れしA列車
90春めくや浅瀬に遊ぶ鷺一羽
91春めいて草刈られゆく空の堀
92春めくや老若集うカフェテラス
93春めくや旅のプランを練り直す
★ネット句会への投句(5句)& 選句(5句)
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5月の兼題【薄暑】&【葉桜】(4月末日〆切)
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【夏の戦5・6・7月】
★5月の兼題(4月末日〆切。)
【薄暑】
初夏にやや暑さを覚えて少し汗ばむのを感じる気候をいう。
傍題に、薄暑光。
【葉桜】
桜が散り終え、みずみずしい若葉の緑が濃く重なりを深めてその美しさを見せます。
傍題に、花は葉に。
※他に、当季雑詠、自由題でも可ですが季節ごとの勝ち抜き戦であることをご了承下さい。5句投句5句選句です。
<先句に学ぶ>
飼犬の穴掘つてゐる庭薄暑
倉内法子
葉桜の中の無数の空さわぐ
篠原 梵
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令和5年4月号3月の結果(春の戦第3ステージ)
~~<主宰上野貴子選5句>~~
冒険といふは誰にも鳥帰る
陽炎の中より吾子が現わるる
鳥帰る空紅色に染まるとき
春めきて薩摩切子を二つ買う
鍵盤に弾む指先春めけり
五点句
春めきて鼻歌漏るる海女の小屋 神長誉夫
春めきて薩摩切子を二つ買う 阿部文彦
三点句
鳥帰る空紅色に染まるとき 原田啓子
かげろへる原爆ドーム昼の黙 辻 雅宏
軽やかに発車のチャイム春めけり 龍野ひろし
ピンと立つ猫のしっぽや春めきぬ 原田啓子
遠山の丸く見える日春めきぬ 原田啓子
フリースに包まれ眠る春の風邪 山本佐和子
調弦の軽く揃いて春めきぬ 原田啓子
小魚の跳ぬる波紋や春めきぬ 辻 雅宏
二点句
鳥帰るシベリアまでの空遠く 上野貴子
陽炎や軽トラに立つ古箪笥 原田啓子
冒険といふは誰にも鳥帰る 山本佐和子
投げ竿の放物線や鳥雲に 辻 雅宏
マシン吠ゆル・マンの陽炎引き裂きて 神長誉夫
碧天を戦火の郷へ鳥帰る 神長誉夫
鳥帰る故郷へ向かふ夜行バス 龍野ひろし
餌ねだる猫の鳴き声春めけり 井上悦男
障子戸の春めく光部屋に満つ 水野幸子
春めきてろくろの土の良く喋る 神長誉夫
日当たりの斜めの庭も春めけり 井上悦男
春風邪や窓から見る山遠し 青山好男
春めくやひかり膨らむ堰の水 龍野ひろし
鍵盤に弾む指先春めけり 龍野ひろし
一点句
陽炎の中より吾子が現わるる 阿部文彦
鍵盤に弾む指先春めけり 龍野ひろし
鳥帰る人なきコインランドリー 龍野ひろし
捨つ郷や母の影さえかぎろひて 神長誉夫
つぎつぎと水面くずして鳥帰る 井上悦男
一列に並びて北へ鳥帰る 阿部文彦
鈍色の空を二手に鳥帰る 辻 雅宏
伊吹嶺の浮雲かすめ鳥帰る 辻 雅宏
引き上ぐる浜の小船や鳥雲に 井上悦男
陽炎に彷徨う少年探偵団 井上悦男
陽炎いて貨物列車の浮いてくる 阿部文彦
軽やかに発車のチャイム春めけり 龍野ひろし
春めきてシェフの帽子も背を伸ばし 神長誉夫
君のならくれてもいいよ春の風邪 辻 雅宏
妻からのメールにハート春めける 龍野ひろし
オリオンに向ひ帰宅や春めきて 井上悦男
光さす千体仏や春めけり 龍野ひろし
一人寝の夜のいつまでも春の風邪 原田啓子
レトルトの匂いの粥と春の風邪 山本佐和子
春の風邪汽笛掠れしA列車 神長誉夫
春めくや浅瀬に遊ぶ鷺一羽 辻 雅宏
春めいて草刈られゆく空の堀 青山好男
春めくや老若集うカフェテラス 山本佐和子
春めくや旅のプランを練り直す 阿部文彦
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※ネット句会では当季雑詠自由題もしくは、兼題での投句を受け付けております。季感が明らかにずれている俳句の投句はお断りしておりますことご了承下さい。
~~~勝ち抜き戦の結果・春の戦~~~
春めきて薩摩切子を二つ買う・・・五点句
春めきて鼻歌漏るる海女の小屋・・・五点句
春の戦の最後となります。勝抜いたのはこの2句でした。春らしい句が勝ち残りましたね。やっとコロナ禍の規制がない春がやって来て明るい句が多いと感じます。
(春:2月~4月)
~~~今月の選評~~~
マシン吠ゆル・マンの陽炎引き裂き
マシンの音とともに陽炎を破り出たレーシングカーの
生中継を見る詠みである。
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★5月の兼題(4月末日〆切)
【薄暑】と【葉桜】
他に、当季雑詠、自由題でも投句可能とし、5句投句5句選句です。
※ネット句会では当季雑詠自由題もしくは、兼題での投句を受け付けております。季感が明らかにずれている俳句の投句は季節ごとの勝ち抜き戦のためお断りしておりますことご了承下さい。
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【今月のワンポイントレッスン】
「や」「かな」「けり」の切れ字についてこのコーナーでは「奥の細道」に視点を当ててきました。今回は日光の抄の四月の頃の句を見てみましょう。
あらたうと青葉若葉の日の光・・・芭蕉
「奥の細道」の中で特に有名なこの句は季語の使い方も斬新ですし、切れ字もありません。句意は「何と崇高であろうか。日光では東照宮の大改修も進み青葉や若葉が美しく太陽の光りにそのみどりを輝かせていることだ。」と詠んでいます。四月朔日の句と書かれていますから、陽暦の5月19日頃で新緑が美しい初夏の句です。今の時代では「青葉」「若葉」の二つの季重りですね。これは季感が同じなので「青葉若葉」と一つの言葉とみなすことが出来ますが造語となります。切れ字は無く、日の光が「日光」という名にふさわしく美しく眩しいほどに神々しいということを表現しています。よくある上五の説明にとどまらずに斬新で印象深い句に仕上げている名句ですね。
「あらとうと」この上五は「あら尊し」のことで「あら」が感嘆を表し「とうと」が「とうとし」の語幹となります。
芭蕉は、弥生三月二十七日に出発して四月朔日に日光山に参拝しています。日数計算は暦の違いから難しいところですが、日光街道を旅して辿り着いた日光は改装されていて、その美しさに感銘を受けたに違いありません。
(令和五年四月 上野貴子)
「俳句TV」ミニ講座下記より
★過去番組ページはこちら
https://nbsacademy.jimdofree.com/
【ネット句会後記】
春の戦第2ステージは2句が5点句で競っています。最終ステージの結果が楽しみです。華やかな桜花から瑞々しい若葉の季節へと移り、清々しい五月を迎えます。投句と選句をセットにして参加下さい。そして、選評もお忘れなくお願いします。
(令和五年四月 辻 雅宏)
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~LINE公式俳句大会2月結果発表~
<大賞>
10 さこたゆう 陽炎の先ブランコをこぐ二人
<2点句>
22 南出 千賀子 淡雪の足跡に聞く芽吹き声
29 tanaka625 寝過ごして見知らぬ駅に野馬燃ゆる
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