今月の投句(秋の戦第1ステージ)
1渡り鳥飛び去りあとに宇宙船
2名画座や地上に出れば渡り鳥
3腕まくら猫と眺るいわし雲
4あと一歩届かぬ白球いわし雲
5皆去りし生家更地に赤のまま
6鰯雲釣り人並ぶ防波堤
7山いくつ越えて来たるや渡り鳥
8木曽川で分かつ県境うろこ雲
9賤ケ岳越えて余呉湖へ鳥渡る
10行く先は風にまかせて赤のまま
11畦道を郵便バイク赤のまま
12赤のままダリの魔法にかけられて
13こけそうでこけぬ幼子赤のまま
14赤のまま下校子の声高らかに
15阿武隈の嶺の彼方に鰯雲
16鰯雲空に漂う点描画
17渡り鳥くの字がついに点となる
18詫び住まいいつも眺める渡り鳥
19屋敷跡更地にひらく赤まんま
20「待って、待って」とボール追う子や赤のまま
21インコは鈴蹴り渡り鳥の来たり
22行く末は運に任せて鰯雲
23草の花迷い子猫の声きこゆ
24秋涼しきわやかに流るる水の音
25廃駅に誰を待ち詫ぶ赤まんま
26コッヘルの湯気の追い駆く鰯雲
27葉の雫一つ啜れり渡り鳥
28嫁ぎしと風の便りや赤まんま
29鰯雲夕陽に燃えし胸の鰭
30下校の子通る庭先赤のまま
31ビッグベンをなほ高みへと鰯雲
32赤まんまトランポリンの子を見上げ
33病気の子明日は良くなれ鰯雲
34このままが一番幸せ赤のまま
★ネット句会への投句(5句)& 選句(5句)
https://ae-ne.com/c/haiku/entry/e/JFET4VCymDtxJaSr/
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秋の戦の兼題(8月から10月を通して毎月詠んでください。)
【赤のまま】【鰯雲】【渡り鳥】
★ネット句会への投句(5句)& 選句(5句)
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【秋の戦8・9・10月】
★9月におすすめの兼題(8月末日〆切。)
【鰯雲】
巻積雲のことで、この雲が現れると、鰯の大漁があるという。
傍題に、鱗雲、鯖雲
※他に、当季雑詠でも可ですが、季節ごとの勝ち抜き戦であることをご了承下さい。5句投句5句選句です。
<先句に学ぶ>
長雨のふるだけ降るや赤のまゝ 中村汀女
鰯雲人に告ぐべきことならず 加藤楸邨
人はみな旅せむ心鳥渡る 石田波郷
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令和6年8月号7月の結果(夏の戦第3ステージ)
~~<辻 雅宏選5句>~~
菊挿して入院の準備終はりけり
五月雨や行商人の能登訛り
本棚は読まぬ書籍の紙魚の宿
バーツの籠いっぱいのバナナかな
五月雨や茶房の時はゆるやかに
点盛りの結果
五点句
村と村つなぐ吊り橋新樹光 辻 雅宏
四点句
熊野古道翳りの中の新樹かな 辻 雅宏
三点句
古文書を開けば紙魚の食みこぼし 阿部文彦
五月雨や速度増したる舟下り 龍野ひろし
新樹風抜くる谷中の築地塀 龍野ひろし
赴任地の駅前通りさみだるる 辻 雅宏
五月雨やオランダ坂の石畳 辻 雅宏
峡谷のトロッコ列車新樹風 辻 雅宏
目鼻さえ区別なき地蔵新樹光 青山好男
5バーツの籠いっぱいのバナナかな 植木 彩由
二点句
爆弾のやうなおむすび新樹光 植木 彩由
五月雨や龍と目が合ふ天井画 龍野ひろし
銀輪をつらね少年新樹風 龍野ひろし
道産子の葦毛三つ編み緑さす 水野幸子
紙魚走る国語辞典の裏表紙 阿部文彦
いにしえの手帳に走る紙魚の跡 阿部文彦
五月雨にひねもす烟り法隆寺 辻 雅宏
ヒロインの涙を齧り紙魚きらり 神長誉夫
雨上がり新樹まぶしき建長寺 阿部文彦
夫眠り書斎に紙魚の走る音 原田啓子
一点句
古書店の手にとる辞書や紙魚の痕 辻 雅宏
過去帳を干して気づくや紙魚の穴 辻 雅宏
板垣の百円紙魚に喰はれをり 辻 雅宏
父の古書開けばどれも紙魚の跡 阿部文彦
かろうじてすずめ隠れている新樹 植木 彩由
五月雨や人なきコインランドリー 龍野ひろし
用済みの母子手帳食むきららかな 辻 雅宏
菊挿して入院の準備終はりけり 水野幸子
無人駅見送る友や五月雨るる 阿部文彦
五月雨や行商人の能登訛り 龍野ひろし
本棚は読まぬ書籍の紙魚の宿 阿部文彦
湧き水に命与えて新樹光 神長誉夫
五月雨を眺る猫の背や哀し 瀧口 孝志
五月雨や豆ふっくりと芽をかかぐ 水野幸子
幼子の背をすっぽりと新樹蔭 原田啓子
新樹晴れ川崎宿の芭蕉の碑 植木 彩由
五月雨や茶房の時はゆるやかに 龍野ひろし
定まらぬ嬰の眼や新樹光 原田啓子
徒歩き新樹にもらふ生気かな 辻 雅宏
五月雨やしんがりを行くランドセル 阿部文彦
五月雨に句点打つよな赤き傘 神長誉夫
木洩れ日に緑いやます新樹かな 辻 雅宏
★ネット句会への投句(5句)& 選句(5句)
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★ネットテレビ「俳句TV」から毎月点盛りの結果発表https://www.youtube.com/channel/UCxvCKp1aE7_pAWNsjr_czQQ
※ネット句会では当季雑詠もしくは、兼題での投句を受け付けております。季感が明らかにずれている俳句の投句はお断りしておりますことご了承下さい。
~~~勝ち抜き戦の結果・夏の戦~~~
村と村つなぐ吊り橋新樹光・・・5点
夏の戦を吊り橋の句が最後まで勝ち抜きました。輝く緑が目に浮かぶような絶景の句です。長い猛暑ですが、
野山の美しい自然に癒されますね!
(夏:5月~7月)
~~~今月の選評~~~
五月雨や人なきコインランドリー
五月雨の頃の生ぬるい湿気のある空気が俳句から感じられます。
「人なき」がすべてを語っているようです。洗濯機や乾燥機が回る音まで聞こえてきそう。
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★9月の兼題(8月末日〆切)
【赤のまま】【鰯雲】【渡り鳥】
※ネット句会では、兼題での投句、もしくは当季雑詠を受け付けておりますが、季感が明らかにずれている俳句の投句は季節ごとの勝ち抜き戦のためお断りしておりますことご了承下さい。
★オンライン句会
毎月のお題にこだわらない自由な俳句を募集しております。気軽にご参加ください。
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【今月のワンポイントレッスン】
「俳句の歴史」今回は芭蕉のあと江戸後期に活躍した小林一茶です。
一茶は信濃柏原の人。(1763年~1827年)15歳で江戸へ出ます。
痩せ蛙負けるな一茶是にあり・・・一茶
この句は、小さくて弱そうなやせ蛙よ。負けないでおくれ。私がここで応援しているぞ。
といった意味の句ですね。俗語・方言を使いこなし、子どもや小動物などへの愛情にみちあふれた句を多く残しています。代表作「おらが春」は愛児さとの生と死をテーマとしたと言われ、晩年は郷里で逆境のうちに65歳で生涯を終えたとされます。
雀の子そこのけそこのけお馬が通る・一茶
一茶の優しさが滲み出たリズミカルで楽しい句です。江戸時代の情緒あふれる風景が浮かびます。江戸時代後期を活躍した一茶の後には、怒涛のような文明開化の明治時代へと俳句も流されて行きます。
(会報令和六年7月号より 上野貴子)
「俳句TV」ミニ講座下記より
★過去番組ページはこちら
https://nbsacademy.jimdofree.com/
【ネット句会後記】
残暑お見舞い申し上げます。
夏の戦最終ステージは、5点句が逃げ切りました。秋の戦がスタートしましたが、兼題に楽しみな句が寄せられています。選句された句に鑑賞のコメントを寄せて下さるよう
お願いします。(令和六年八月 辻 雅宏)
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~LINE公式俳句大会7月結果発表~
<大賞>
9 奥平雅子 青々とゴザを敷き詰め海の家
<2点句>
16 鈴木恵美子 写楽の絵裏にポツポツ紙魚のあと
22 荒木 かをり ばら寿司は子規の好物祭笛
33 さこたゆう 図書室の紙の匂ひや秋近し
この他の結果はLINEよりご覧ください。
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※ネット句会ではこのページにてLINE公式俳句大会の結果発表と連動してまいります。
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