11月のネット句会

今月の投句(11月12日更新・冬秋の戦)

1波白く海鳥高く小六月
2母の手を放して拝む七五三
3小春凪海鳥の群れ河口まで
4女の子鈴を鳴らして七五三
5可愛さに娘に話しかけ七五三
6ベランダで小春にそよぐ七分丈
7くしゃみして小春の空をうらみけり
8紅ひいて唇紡ぐ七五三
9千歳飴引きずり歩く着物の子
10父笑う紅引き笑う娘見て
11お互ひに孫連れ出会ふ七五三
12爺婆をしたがへ歩む千歳飴
13縁側で爪切る母の小春かな
14途中下車してまで歩く小春空
15釣り人の等間隔に湖小春
16凩に向かって走るランドセル
17凩や埃巻き上げ屋敷跡
18境内に人の影なし神の留守
19賽銭の音響き合う神の留守
20日溜まりの木戸に寄り添う返り花
21小春日のインコの声の甲高し
22玉砂利を踏みしめる音七五三
23植え替えし多肉植物初時雨
24絨毯にインコの糞や暮早し
25頬かすめ飛び交ふインコ冬に入る
26のったりとエアバルーン浮く小春かな
27学生の声に華やぐ街小春
28おくるみに小春の光編み込んで
29家じゅうがただ嬉しくて七五三
30何の日か問う子もにぎる千歳あめ
31千歳飴だいじに抱え段上がり
32七五三の石段ばかり見ておりぬ
33付いて来ぬ祖父母のぶんまで七五三祝
34小春日の明き林に影さがす
35小春日のピアノ鳴り来る上り坂
36眠る子の帯を解きし七五三
37七五三カメラの前のすまし顔
38鈴の音を零して歩く七五三
39小春日や一家総出の床磨き
40ジャケットの似合うふ青年恋小春
41七五三玉砂利踏む音遠き日々
42七五三鳥居の長き影踏みて
43小春日や猫眠る屋根雲の下
44蝶二頭もつれもつれて小春かな
45江の島や小春に浮かぶ富士の影
46爺婆は鳥居の前や七五三
47産土の神のお祓ひ七五三
48秋時雨鷹は小屋にて眠りをり
49小春日は?みしだかれて牛の夢
50小春日に爪立て空睨め軍鶏独り
51小春日を分け合う人の写真立て
52飴色に干魚艶めく浜小春
53小春日に抱かれて矮鶏の鶏冠咲く

 

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12月の兼題【冬ざれ】&【クリスマス】(11月31日〆切)

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【冬の戦11・12・1月】

★12月の兼題(11月31日〆切。)

【冬ざれ】

冬の万象の蕭条たるさまをいう時候の季語です。
傍題に、冬され、冬ざるる。

【クリスマス 】

12月25日キリストの誕生を祝う日。
傍題に、降誕祭、聖夜、聖歌、聖樹(クリスマスツリー)、聖菓、クリスマスイブ、サンタクロースなど。

 

<先句に学ぶ>

  冬ざれてうるさき程に鴉鳴く
                                       山下孝子

  靴下がくの字に吊られクリスマス
                                        阿波野青畝

 

 


10月の結果(秋の戦第三ステージ)

七点句

干網に綻びありて浜残暑        神長 誉夫

真つ新の赤き前垂れ地蔵盆       辻 雅宏

 

五点句

雁高く空一層の深みかな        原田 啓子

古書店にばら積みの本残暑なほ     龍野 ひろし

 

四点句

跡継ぎのなくて最後の今年米    龍野 ひろし

残暑なほ旋盤の吐く螺旋屑      龍野 ひろし

アザラシの鼻また開く残暑かな     神長 誉夫

 

三点句

実南天何か良いこと有りさうな    広田洋一

その名にも産地の心今年米      原田 啓子

退職の帰路南天の実はこぼるほど   小南彩乃

雁行や富士の稜線たもちつつ      原田 啓子

病院を出でて残暑へ飛び込まん     芒花

絵手紙に季節をとめる葡萄の実    芒花

悪童もけふは大人し地蔵盆      辻 雅宏

下町の地下道匂ふ残暑かな       龍野 ひろし

遺された母の小さき残暑かな      原田 啓子

 

二点句

秋天に高層ビルの窓光る        広田洋一

豚汁に茸あふるる夕餉かな       水野幸子

二階へと匂ふ新米炊きあがり      井上悦男

花南天掃き寄せられてまたこぼれ    原田 啓子

雲奔りパンデミックの秋暑し      上野 貴子

シャンソンの車窓に広き葡萄園     青山好男

セコイアの天辺をゆく雁の列      阿部文彦

折れてなお確かなるもの雁の棹     原田 啓子

雁渡る見上げる人の地の遠く      芒花

山里へ一声ひびく雁の棹        阿部文彦

葡萄狩り透くる光に手を伸ばし     龍野 ひろし

親と子の影の動くや葡萄棚       龍野 ひろし

語り部の身じろぎもせず原爆忌     濱野 洋子

パチンコ店の音うねりくる残暑かな   小南彩乃

町内の子が減るばかり地蔵盆      阿部文彦

橋渡る貨車に脈打つ河残暑       神長 誉夫

セコイアも棒立ちになる残暑かな    阿部文彦

ビルの間に地蔵詣のニ三人       原田 啓子

里に向く小さき祠地蔵盆        阿部文彦

越してきた子と分ける菓子地蔵盆    小南彩乃

手を合わせ戦火を思う地蔵盆      小南彩乃

             

一点句

コンビニでコピーをとりて良夜かな   濱野 洋子

残暑光父の棺を焼かんとす       原田 啓子

生き馬の目を抜く銀座秋暑し      辻 雅宏

南天の実ゲノムまるごと縁紡ぐ     芒花

古戦場の塚に供へる今年米       小南彩乃

初陣を控えた夜半(よわ)に白南天    小南彩乃

一片の雲なき空に月上る        広田洋一

おかわりの茶碗差し出す今年米     龍野 ひろし

実南天代々続く旧家なり        濱野 洋子

世話をする主亡くとも実南天      小南彩乃

裏庭にいつしか夕陽実南天       上野貴子

実南天なれば目出度し喉に良し     上野貴子

新米を受くる手のひら深きしわ     青山好男

今年米ふるさとの水匂ふかに      水野幸子

掌を零る新米育てし日々の如      神長 誉夫

ゴマ塩を遠慮して振る今年米      原田啓子

実南天築百年の民家裏         井上悦男

新米の炊けてタイマー鳴るキッチン   上野貴子

新米や山下清の握り飯         濱野 洋子

葡萄光る棺の友の顔静か        小南彩乃

ひとくさりありて葡萄を渡される    龍野 ひろし

連れ立ちて明けゆく空を雁渡る     芒花

聳え立つビルの上空雁渡る       広田洋一

葡萄着く小粒を詫びる筆を添へ     龍野 ひろし

一房にひしめき合へりデラウェア    辻 雅宏

雁渡る近くて遠き田舎道        宇田川せいち

薄墨の山のざわめき秋の虹       阿部文彦

赤富士や葡萄棚にも朝の来て      水野幸子

雁が音や潮待ち浦に夢白帆       神長 誉夫

山幾つ越えて来たるや雁の棹      辻 雅宏

雁渡る点から線に日本海        辻 雅宏

黒葡萄蛇笏龍太の里に満つ       辻 雅宏

新涼の肩にのり来るインコかな     水野幸子

センターフライ見上げた先に雁渡る   小南彩乃

葡萄粒透かせば宙の子蹲り       神長 誉夫

重そうな二人の時間黒葡萄       宇田川せいち

大空に黒糸刺繍雁の群れ        青山好男

海静か夕陽に溶け行く雁の影      神長 誉夫

赤信号の続く帰路や秋暑し       宮沢 俊幸

寝息背に灯明辿る地蔵盆        神長 誉夫

里に向く小さき祠地蔵盆        阿部文彦

包丁の切れ味落ちて秋となる      宮沢 俊幸

厠とふ孤独の部屋の残暑かな      辻 雅宏

迷惑メールと根比べの残暑かな     海老名 智子

うろこめく棚田の畔や残暑光      水野 幸子

町内の人をつなぐや地蔵盆       原田 啓子

 

 

 

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★ネットテレビ「俳句TV」から毎月点盛りの結果発表https://www.youtube.com/channel/UCxvCKp1aE7_pAWNsjr_czQQ

※ネット句会では当季雑詠自由題もしくは、兼題での投句を受け付けております。季感が明らかにずれている俳句の投句はお断りしておりますことご了承下さい。

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         ~~~勝ち抜き戦の結果・冬の戦~~~

干網に綻びありて浜残暑        神長 誉夫

真つ新の赤き前垂れ地蔵盆       辻 雅宏

 

干網の浜の句が逃げ切りましたが地蔵盆が同点までせって来て面白い戦いでした。コロナ禍の秋はやはり物寂しい俳句に点が集まったようです。次回はコロナ禍二度目の冬の戦です。

(秋:8月~10月)

 

~~~今月の選評~~~

実南天何か良いこと有りさうな

南天の明るい色に良い予感を感じる一句です。寒くなりゆく時期だからこその
良いこと探しをする作者の姿が浮かんできます。

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※ネット句会では当季雑詠自由題もしくは、兼題での投句を受け付けております。季感が明らかにずれている俳句の投句は季節ごとの勝ち抜き戦のためお断りしておりますことご了承下さい。

 

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【今月のワンポイントレッスン】

【おしゃべりHAIKU勉強会より】2021年10月号より

「や」「かな」「けり」の切れ字について「奥の細道」に視点を当て勉強してきましたが、10月号では、食欲の秋にちなんで芭蕉全句の中から「食」の句を見てみましょう。

鎌倉を生て出けむ初鰹・・・芭蕉

芭蕉49才の句。江戸時代には鎌倉沖で取れた鰹を生きたまま江戸まで運んでいたようです。鎌倉から江戸の将軍様へ鰹が献上されたことを聞くと、江戸の庶民はこぞって鰹を食べようとしたので高値で売れた訳ですね。鰹は夏の魚ですが、秋の魚と言えば「秋刀魚」です。

秋深き隣は何をする人ぞ・・・芭蕉

この句は芭蕉51歳の句ですが、私はこの句を「焼く人ぞ」と勘違いをしていました。どこか秋刀魚の句のイメージないですか。ところがこの句は、食の句ではないのです。芭蕉は大阪の知人宅で病気のために臥せっていてその秋に詠んだとされています。人恋しさが感じられます。

松茸や知らぬ木の葉がへばりつく・・・芭蕉

この句は芭蕉48歳の句。「松茸」を詠んでいます。松茸採りに行かれた句でしょう。松に生えるから松茸ですが、雑木林で思いもよらず見つけたのでしょうか。俳諧味のある食の句ですね。この「や」は現代ではあまり使われない「ぞ」よりも切れ字としての効果は解りますが、中七下五のユーモラスな印象が切れ字の効果よりも楽しそうで効いていますね。
(2021年令和三年十一月 上野貴子)

「俳句TV」ミニ講座下記より
★過去番組ページはこちら http://uenotakako.com/?post_type=haikutv

 

【ネット句会後記】

二年続けてコロナで始まりコロナで暮れようとしています。ネット句会に参加されている皆さんも少なからずコロナを句に詠まれたことでしょう。来年こそ終息までは無理としても寛解を迎えたいものです。それでは、納め句座への投句お待ちしています。よいお年をお迎えください。
(令和三年十一月 辻 雅宏)

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